第23話 恒久平和なんて有り得ない
機巧暦2139年12月・ドイツ帝国ブレーメン
「親父、体調どうです?」
「うん? ああリム准尉か。見ての通りだ」
居間でくつろいでいると襖を開けてリムが入ってきた。前より顔がスッキリしているような気がする。
「シャルロット様からユズキ少将が体調を崩して停職していると聞いていて・・・・・・・・見舞品を持ってきたんだが・・・・・」
「ああ、ありがとうな。見舞品はそのテーブルにでも置いておいてくれ。ブレーメンの街はどうだ?」
「賑わってますよ。フランソワ宰相の政策のお陰で何とか法整備も終わってゼダン人口100万人になりました」
「フッ、その様子だと俺は要らぬ子だな」
「いえ・・・・・親父には軍事的に支えてもらわなければとシャルロット様やフランソワ宰相らはそう言ってて親父は決して要らぬ子ではありません」
俺がそう言うとリムは困った顔をした。
「・・・・・・・・・・」
「そうそう、昨日あたり親父の元に大日本帝国の使者が来たらしいじゃないですか。使者は何て言ってきたんですか?」
「単純にオスマン帝国をボコすから手を貸せってな」
「そ、それで親父はもちろん手を貸すんですよね!?」
「いや参加するわけないだろ? 貸したくも無い」
「なっ!? 戦争大好きの親父が断るなんて」
リムは驚愕した。戦争大好きって・・・・・・・・・何なんだよ・・・・・・・
「誰が戦争大好きだ。馬鹿者が。言っておくが俺は戦争は嫌いだからな」
「正義の為に参戦しないんですか? 確か大日本帝国も正義を掲げているはずては?」
「奴らの正義は違うんだよ。利益重視の正義だ。俺は利益なんか関係なく信じる奴らを救う正義だからな。一緒にされては困る」
俺はそう言うと茶を飲んだ。
「な、なるほど・・・・・・・・」
「欧州本部はいずれオスマン帝国を併合するはずだ。それが終われば次はドイツに牙をむくはず。それまで大事な戦力はすり減らしたくない」
「大日本帝国がドイツ帝国を攻めると?」
「植民地支配や帝政を否定する勢力なんだよ奴らは。帝国があるから争いが収まらないと腐抜けた事をヌケヌケと言うのだ。もちろんそれは見当違い。帝国を解体すれば欧州の混乱は確実だ」
「・・・・・・・・・・・・」
「永久の平和や平等などはあり得ないし、実現出来るはずがない。リム、平和な世と言うのはな次の戦争への準備期間と考えろ。平和の世にたまりに溜まった不平不満が爆発して戦争になるのだ。これを覚えておいて損はないぞ」
「そ、それでは真の平和は無いと?」
「そうだ最低限減らすことは出来るが全く無くすと言うのは出来ない。もしそれを実現しようとするなら人類を全てを・・・・・滅ぼすしか無いだろうな」
「そ、そんな・・・・・・・・」
リムは絶望したような表情をした。リムも俺の正義の考えに感化され恒久平和を目指して日々戦ってきたと思う。だから今の俺の言葉は全てを否定する事に他ならなかった・・・・・・・




