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機巧魔術師の異聞奇譚  作者: 雨月狂華
第一章 灰色の亡霊
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第21話 カラマタ湾海戦

機巧暦2139年12月・バルカン半島ギリシャ



「榊原少将、た、大変です。オスマン艦隊がギリシャ沖に展開しているとのことです。すでに上陸作戦を始めているという噂も聞きます」



「オスマン艦隊? ギリシャ沖だと?」



「はい。恐らくオスマン側は欧州本部艦隊が地中海のアンタルヤに停泊しているのを知って手薄なギリシャを攻め入る作戦かと・・・・・・・」



「分かった。直ぐに兵を集めてくれ。迎撃するぞ!!」



榊原は配下から報せを聞くと軍服を着て刀を腰に差した。



「わかりました。直ぐに手配致します」







その後ーーーー



「侵略者どもに我が神聖なる公国の領土など踏ませるものか!! ギリシャを全力で護るぞ!! 我らの奮戦の有様を後世の者に語り継がれるようにな!! 国の興廃この一戦にあり!! 各軍一掃奮励努力せよ!! 御霊の加護により我らは不死身!! 敵など恐れるものか!!!」



「「「おォォォォォォ!!!」」」 



集まった兵力は二十個師団《40万》という稀に見る数だった。榊原は久遠柚希レベルの人望は無いにしてもある程度は人望はあった。バルカン半島に赴任したての頃は反発も多かったが奴隷解放、戸籍制度、税制改正、教育・文化の推進、鉄道の敷設など不器用ながらも民衆のために働き続けた。その結果、民衆の地位や生活水準は向上した。さらに榊原は統監府に籠もらず自ら街に繰り出して民衆と話したり子供たちと遊んだりした。そのため反発していた民衆は手の平を返してベッタリと榊原に懐くようになっていた。

 



機巧暦2139年12月・オスマン帝国アンタルヤ沖



「新田中将、もし久遠少将の救援がない場合はどうします?」



「・・・・・・・・・・・」 



「救援に来ると言っても時間がかかるでしょう? ならば我らだけでもギリシャの救援に行くべきではありませんか?」


「分かった」



配下の心配を聞いた新田は巡洋戦艦・金剛、比叡、榛名、霧島と駆逐艦5隻をギリシャ沖に向かわせた。





そしてーーーー



「てぇぇぇぇぇ!!」



「各艦は砲雷撃を開始せよ!! 撃ち方やめと言われるまで撃つのを辞めるな!!」



欧州本部艦隊は昼間の海戦は避け夜戦に持ち込んだ。完全な奇襲攻撃となりオスマン艦隊は次々と黒煙を上げる。



「艦隊陣形を変えろ!! 横だ!! 横一列になれ!!!」

 


「え?」



欧州本部艦隊は単縦陣・・・・・つまり縦一列で艦隊の動きを蛇のようにうねらせながら砲撃を行っていた。



「敵は狭い湾内に引き込んでいる。今ならカラマタ湾に蓋が出来るぞ」



「な、なるほど・・・・・・・」



オスマン艦隊は狭い湾内にひしめき合っていた。湾内の陸側に輸送艦が、その外側に戦艦が援護射撃できるように半円形に配置されている。さらにその外側に駆逐艦やその他の艦船が無造作に配置されている。当然ながら内部の戦艦部隊は真面に動くことすらままならない・・・・・・・・・



「新田中将、準備が整いました。なんとか各地に散らばっていた欧州本部の商船もかき集めてそれらしくなりました」



「さぁ、やれっ!! 敵を圧殺するのだ!! 的はいくらでもある!! 外すなよ」



「うむ。撃ち方始め!!」



配下は無線で全艦にそう通達した。通達後、各艦の主砲や副砲から次々と徹甲弾やら火炎弾やらが乱れ打ちされる。さらにサーチライトで辺りが明るく照らされ敵艦の状況が手に取るようにわかる。



集中砲火を浴びてオスマン艦隊の逃走を図ろうとするも四方から砲弾やら魚雷が来るため逃げられず次々と衝突事故を起こし轟沈していく。さらに内部の戦艦部隊も砲撃するも戦艦自体が旧式のため射程が届かず近くの僚艦に命中し同士討ちする始末だった・・・・・・・・・・さらに真面に艦の整備も怠っていたらしくあちらこちらで機関停止が起こったり主砲爆発事故が多発し阿鼻叫喚地獄と化した。



「撃ち方やめ!! 撤退するぞ!!」 



「撃ち方やめ!!」



「退くぞ!!」



各艦は砲弾を撃ち尽くし撤退にはいった。結局、二時間半にわたる砲撃戦でオスマン艦隊は戦艦5隻が沈没、2隻が大破、1隻が機関停止によるトラブルで廃棄、駆逐艦が15隻が轟沈、3隻が衝突事故により大破。輸送艦は8隻が中破、4隻が大破。重巡洋艦は4隻が主砲爆発により轟沈。1隻は果敢にも欧州本部艦隊に突っ込んできたが残念ながら魚雷の餌食となった。



欧州本部艦隊は最初の単縦陣の行動中に敵駆逐艦の雷撃を受けた巡洋戦艦・金剛が中破、榛名が小破。さらに駆逐艦2隻が敵軽巡洋艦の捨て身の攻撃により沈没した。

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