第7話 心配事
機巧暦2139年12月・ドイツ帝国ブレーメン
「アイツら大丈夫かな・・・・・・・やっぱり俺が行くべきだったのでは・・・・・・・」
「仲間を信じることは大切なことですよ? ユズキ=クオン」
「アンタは・・・・・・・確か~」
「シャルロット様の重臣・アンリ=フランソワにございます」
椅子にもたれ掛かりながらそう呟くと、たまたま入ってきたフランソワにそう言われた。
「東郡、南郡は平定できるかもしれないけど、西郡が・・・・・・・・」
「やはり北フランスが心配ですか」
「ああ、西郡は北フランスが完全に抑えてると聞くし。軍は駐屯していないと聞いているけど恐らくはすぐに攻め込める準備くらいはしてるような気がしてな」
「無駄な心配は却って心に毒ですぞ。北フランスが軍を出すには連合王国の許可が必要です。此度のドイツ=フランス戦争で北フランスが最後でやっと兵を出せたのは連合王国が許可してくれたからです」
「もし裏で連合王国から出兵許可を出していたらどうする?」
「その心配はないでしょう。連合王国も多額の戦争資金を北フランスに払っています。そのせいで国庫が財政逼迫している状況だと聞いていますから許可は出さないでしょう。撤退命令も出していますからコロコロ変えては奴らの立場が危うくなりましょう」
「そ、そうか・・・・・・・・・・・」
・・・・・リムが上手くやってくれればいいが
「やはり配下のことが一番心配のようで?」
「ああ」
「ユズキ様は今まで配下を救って導くことはしなかったと思います。今、貴方が配下に手を差し伸べてはまた救うことになってしまいます」
「救うだけではダメということか?」
俺がそう言うとフランソワは頷く。
「もし貴方が戦死された場合、残された配下はどうなるでしょうか? ただ救われただけの者たちに後々の自己判断が出来るでしょうか?」
「・・・・・・・・・・」
「もう少し分かりやすく言えば軍での将兵の関係は親と子の関係同然です。親はつい可愛い我が子のためにと思って手を差し伸べますが、それは後々の子のためになりません。多少の心配があっても子に判断を任せるべきです」
確かにフランソワの言うことは一理ある・・・・・・・・・少し俺は過保護になりすぎかもしれない
「可愛い子には旅をさせよと言うことか」
「はい。その通りでこざいます」