第6話 南郡・東郡
機巧暦2139年12月・西プロイセン南郡
「主、客が訪ねてきてますがどうします?」
「客? 素性は? 男か女?」
「警察とか言ってました・・・・・・性別は女でして」
屋敷で真っ昼間から浴びる程の酒を飲んでいた貴族は虚ろな目をしながらそう言う。
「警察だと? なんだそりゃ、まあ女であればいい・・・・・・・ここへ通せ」
「わかりました」
しばらくして従者が1人の人物を連れて戻ってきた。
「お初にお目にかかります。レムと申します」
「・・・・・・・・・うむ。そのレムが私に何の用だ・・・・・・・ってなんと美しいことか・・・・・・・」
貴族が顔を上げると目の前には可憐なドレスに身を包んだ女性が立っていた。この時、レムは貴族に近づきやすいようにあえて女装していた。男の姿だと謁見すらできない可能性があったからだ。
「今日は貴方様にお願いがありましてここへ来ました」
「ほう。まあそこに立ってないで私の横に来るといい」
「・・・・・・・・・・はい」
レムはイヤイヤながら貴族の横に座る。
「で、私にお願いとは?」
「貴方を捕縛させていただきます」
「何?」
レムは懐から書面を出すと広げて貴族の目の前に突き付けた。
「大逆罪により貴方を逮捕します!!」
「大逆罪だと? 私は陛下の寵臣だぞ! 大逆罪など犯すはずがない!! 逮捕できるわけなかろう!!」
どこから現れたのかレムが率いる兵士が4人余りが駆けつけて縄で貴族の手を後ろにして縛り始める。
「証拠ならありますよ? 西郡の貴族や東郡の貴族と謀って北フランス軍をベルギー王国経由でドイツ帝国内に引き入れようとした馬鹿はどこの誰でしょうかね?」
レムは首を傾げてそう言うと北フランス宛てに書かれた密書を貴族の前に投げた。
「・・・・・・・・・認めよう。私の負けだ」
「よし首を刎ねろ!」
案外、素直に罪状を認めた貴族は斬首となった。東郡の貴族はわずか5百の軍で抵抗したらしいが総勢2千の平定軍に敵うはずもなく妻子の助命を条件に降伏した。貴族は斬首となった。さらにラムは助命を無視し、妻子を引きずり出し斬首として東郡は平定された。
そして一番問題だったのが北フランスに近い西郡だった・・・・・・・・・




