第5話 征伐の開始
機巧暦2139年12月・ドイツ帝国ブレーメン
1週間後、放ったスパイからの報告は散々なものばかりだった・・・・・・・
「なるほど西郡は北フランスから金を貰っていると?」
「はい。西郡は北フランスの手に落ちたも同然です」
「民衆の生活はどうだ?」
「民衆は・・・・・・・・・・・」
内偵から帰ってきた者は柚希に状況を報告していた。
「どうした? 泣いているのか?」
「いえ・・・・・・・・民は飢え苦しんでいます。重税や役人からの不当な懲罰、北フランスから流れてくる賊の影響ですっかり疲れ果てている状況です」
「・・・・・・・・・南郡も東郡も似たような状況だと聞く・・・・・確かにこれでは満足に安心してゼダンを統治することはできねぇな」
「いよいよ征伐を?」
「いや征伐ではなく逮捕といこう。陛下の許しがない限り大規模な軍は動かせないからな。よし! レム、ラム、ロムを呼べ」
「わかりました」
その後、レム、ラム、リムがやってきた。
「お呼びですか」
「ああ、レムには南郡を、ラムには東郡を、リムには西郡を平定して欲しいのだ。平定軍はそれぞれ2千でやってくれ」
「2千では足りません。7千は欲しいです」
俺の言葉にラムがそう言う。
「・・・・・・・・・その規模の軍は出せないな。足りなければ各地で集めてくれ」
「わ、わかりました」
仕方ないのだ。大規模な作戦をやれば北フランスが出てくる可能性は十分ある。出来れば秘密裏にやりたい。
「あ~、あとこれをやる。使い道を一々報告する必要はないから」
「え? 本当にいいんですか?」
「これで敵を離間させろ。敵は金に弱いはずだ。なるべく軍は使わないでくれ。さっきは平定だの征伐だの言ったがこれはあくまで警察としての任務だ。逮捕してくれればいい。まあ抵抗して手に負えない場合はその場で斬首してもいいけどな。その場合は首だけ持って帰ってこい」
俺は資金として6千万を3人に渡した。首だけ持って帰ってこいという言葉に3人は少し引いていた。
まあ武士じゃあるまいし首級という文化がのは当たり前か・・・・・・・・・
「わかりました。俺たち親父のために頑張ります!!」
「ああ必ず正義が勝つのだ。敵にそれを思い知らせてやれ」
「「「わかりました!!」」」
そう言うと3人は執務室を出ていった。
さて・・・・・・・・・・報告書をつくるか。いくら正義のためとは言えども陛下の家臣を斬ることになるからな。




