第42話 論功行賞
機巧暦2139年12月・ドイツ帝国帝都ベルリン
「お帰りなさい!! 私たちの英雄さん!!」
「わぁい!!」
「帰ってきたぞォォォォォォ!!」
「俺たちのためにありがとう!!」
第一師団、第二師団、第五師団、第六師団、第一航空戦隊は帝都ベルリンに到着すると民衆から熱烈なお出迎えを受けた。空には紙吹雪が舞い軍楽隊が音楽を奏でる。まるで戦争に大勝利したかのような感じだ。
「な、なんか緊張するな・・・・・・・」
「少将、私たちは堂々と構えていればいいんですよ」
俺の隣を歩いているグレイスがそう言う。第一師団、第二師団、第五師団、第六師団、第一航空戦隊の順で帝都に入り、第一航空戦隊が姿を現した時、民衆の熱狂は頂点に達した。
ちなみに空でパレードをやるわけにはいかず第一航空戦隊は軍馬に乗ることになった・・・・・・・・・ほかの師団は戦車や装甲車、軍馬に乗っている。歩兵部隊は軍馬に乗らず徒歩での行進だった。
「なんで馬なんだよ。空飛ぶのがいいんだけどな・・・・・・・・・」
「英雄は馬に乗って凱旋するのが一般的な慣習です。浮遊しながら行進なんてみっともないですよ」
「そ、そうか・・・・・・・」
殆どの将兵が黒い軍服姿の中、俺だけ白いロングコートに銀髪のためイヤでも目立つ・・・・・・・・・行進しているときに握手してくる奴もいれば体に触れてくる奴もいる。
ほかの師団の連中には何もしないくせに俺だけ触られまくってるんだけど・・・・・・・・
「少将、さすがは人気者ですね。羨ましいかぎりです」
「・・・・・・・・」
熱狂する民衆を抜けて俺らは宮殿に辿り着いた。
ベルリン宮殿・広間ーーーー
「此度の戦争において色々とトラブルが起き各師団の司令部には大変迷惑をかけた。申し訳ない。そしてトラブル続きだったにも関わらず迅速な対応により軍が全滅しなかったのは現場司令部の将校らのお陰だ。ありがとう。礼を言う」
皇帝・イリアスはそう言うと文武百官が集まる場で頭を下げた。
「イギリス連合王国が北フランス、西フランスに停戦命令を出してくれたことにより私もようやく停戦命令を出すことが出来た。これから講和条約締結のため文官には迷惑をかけるとは思うがよろしく頼む」
イリアスがそう言うと文官たちは任せてくれと言わんばかりに強く頷いた。
「それでは論功行賞をする。第1級から第5級までの者には帝都近郊の屋敷を与える!! 功労者は以下の通りである!!」
第1級ーー第一師団・アーチゾルテ=レーゲル陸軍大将
第2級ーー第二師団・アルベルト=カーチス陸軍大将
第3級ーー第五師団・アレクサンドル=ハリウス陸軍大将
第4級ーー第六師団・ナーレス=エルヴィス陸軍大将
第5級ーー第一航空戦隊・ユズキ=クオン陸軍少将
イリアスの宰相が功労者の名前を読み上げた。
「以上である。この者らは後に書簡にて屋敷の所在を知らせることとする。屋敷の所在がわかり次第、屋敷にうつることとせよ」
「宰相、読み上げご苦労だった。さぁ堅苦しい式はこれでお終いだ!! このあとは戦争終結の記念パーティーを開催する!! 身分問わず交流を深めるといいぞ!!」
イリアスは両腕を広げてそう言う。




