第32話 魔術の歴史
機巧暦2139年11月・ドイツ帝国帝都ベルリン
「あ、それからレイシアから世界情勢の話は聞いていると思うが魔術に関しては何か聞いているか?」
「魔術?」
「その反応じゃレイシアから魔術の使い方だけ教えてもらってあとは何も聞いていないと見えるな・・・・・・・・・まあいい、私が魔術について説明してやる」
「まず君の使う魔術はなんだ? 魔術にも色々あってな。君のような防御重視の盾の魔術、スピード重視の槍の魔術、範囲攻撃の弓の魔術、攻防のバランスがとれた剣の魔術があるんだが」
「分かりません」
「フッ、君のは盾の魔術だろ?」
盾なのか? ・・・・・・・・イマイチ盾の感覚がない。どちらかというと弓の魔術だと思う。ポーランド侵攻の時は広範囲攻撃で敵司令部を壊滅させたし・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・」
「まあ盾という自覚が無いということか・・・・・まあそんなことはどうでもいいな。とにかく盾、槍、弓、剣を聖四大魔術と呼ばれていてな。発動させるにはイタリア王国にある魔術教会による洗礼が必要だ。まあ洗礼なくとも発動はできるが、その場合、魔術教会から異端者呼ばわりされて排除されるからな。君は洗礼なしで魔術を発動したわけだから魔術教会から目をつけられているということだ」
「なっ!? 魔術教会から排除ってどういうことですか!?」
「魔術教会には魔術師殺しのプロが多くいる。君はその魔術殺しの連中にいつ命を狙われるかわからないということだよ」
マジか!! 冗談じゃねぇよ・・・・・・・・
「まあ安心するといい。そのために君を講師、陸軍少将に命じているわけだ。身分が高ければ高いほど殺された場合の国への影響・・・・・・まあダメージがデカくなる。だから魔術教会も簡単には手出しが出来なくなるわけよ」
「身分によって守るってことですか」
俺がそう言うとイリアスは頷いた。
ーーーードイツ帝国帝都ベルリン郊外・自宅
「身分が守ってくれるのか・・・・・・・・」
自宅に戻った俺は布団に寝転がりながら考えていた。どこかもどかしい気持ちだった。実力で身を守るのではなく身分によって自身を守る・・・・・・つまり俺は魔術に関しては半人前と言われたも同然だった。
聖四大魔術は前機巧暦のローマ帝国から使われ始めたという。この頃から魔術教会も発足し洗礼を行っていたという。しかし機巧暦1430年から火器が発達してから聖四大魔術はほとんど使われなくなったという。
そして機巧暦1760年イギリス連合王国が産業革命と共に機巧魔術という機械と魔力と魔術回路を融合させた技術を生み出すと聖四大魔術は全く効かなくなり完全に使われなくなった。
そして機巧暦1900年代に一部の魔力使用者の魔術回路の突然変異により聖四大魔術が機巧魔術に微力ながら対抗可能となった。俺は対抗可能なその一人だと言う。
以下が俺の魔術だ。
護国の盾
紅色をした盾。壊れやすいが何度も展開が可能で最大7枚を同時に展開できる。持久戦に持ち込んで相手を消耗させる。
救国の剣
得物に魔力を流し魔術回路を形成させることが可能。魔術回路に魔力を流すことで極限までの強度と威力を発揮する。




