第36話 帝国軍の解体
ーーーードイツ帝国
「国民の為の政治を!! 皇帝はもういらねぇ!! 皇帝は国から出ていけ!!! ドイツはドイツ国民によって治める!! 進めェェェェ!! 皇宮を目指せ!!」
ミュンヘンで蜂起したドイツ共産軍とドイツ自由軍は攻略目標をベルリンとフランクフルトに絞り、ドイツ共産軍はレーゲンスブルク、ニュルンベルク、ヴュルツブルクを通りフランクフルトに侵攻。ドイツ自由軍はヴュルツブルクから共産軍と別れてエアフルト、ライプツィヒ、マクデブルク、ポツダムを経てベルリンに侵攻した。各地域を守備する帝国軍は頑強に抵抗するも都市の市民らが背後から帝国軍に襲いかかり城門を内側から破壊した為あっさりと陥落した。都市守備の失敗を受けて帝国軍指揮官は各地域の都市を守る事から野戦へと変更。
しかし帝国軍は野戦でも敗北を重ね更に兵力を損耗した。ぶつかった共産軍や自由軍の数が多かったのもあるが、主な敗因は装備の違いで共産軍自由軍はフランスから送られてきたイギリス式の最新兵器を使っていたのに対し帝国軍は既存兵器や型落ちの兵器を使っていた事にあった。混乱に次ぐ混乱で帝国軍は兵器の更新が出来ずにいたのだ。大敗を喫しベルリンを守っていた帝国軍はベルリンを含む北部地域を放棄して西プロイセンへと敗走する事なった。
フランクフルト宮殿・参謀本部ーーーー
「ドイツ自由党軍によりベルリンを含む北部地域が陥落致しました。北部地域を守備していた帝国軍はハンブルクや西プロイセンに敗走しました」
「ドイツ共産党軍もレーゲンスブルク、ニュルンベルク、ヴュルツブルクを攻め落としフランクフルト周辺地域まで侵攻してきてます。フランクフルトに攻め込まれるのは時間の問題かと思われます」
「革命軍はフランスからの援助を受けていると分かりました。武器や補給物資はエルザスやロートリゲンからミュンヘンに運ばれています」
相次ぐ悲報に参謀本部のメンバーらは頭を抱え込む。もう帝国軍に共産軍を打ち破る余力はなく滅亡を待つのみの状態だ。
「レーゲル宰相いかが致します?」
「・・・・・・・・いよいよ進退窮まるか。参謀次官、近衛軍を集めてくれ。それからこの参謀本部と帝国軍は解散とする。帝国の為に働いてくれた者に心より感謝する」
「「「・・・・・・・・」」」
ドイツ帝国軍解散の言葉に驚いたり異を唱える者はいなかった。軍の指揮官らはいつか崩壊するものだと分かっていたのだ。その後、レーゲルはレイシアと共に近衛軍を率いてアイネス帝のいる皇宮へと向かった。




