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機巧魔術師の異聞奇譚  作者: 桜木紫苑
第五章 内戦と統一
207/222

第24話 シュターヴェンハーゲン

機巧暦2140年6月・ドイツ帝国・ノイブランデンブルク



「し、将軍・・・・・・・」



「・・・・・・・・・もう一度、兵を集めろ。レーゲルと再戦するぞ」



南北戦争で不戦敗退したアルベルト=カーチスは本拠地のノイブランデンブルクに逃げ込む事に成功する。そして3日余りの休息を将兵に与えた。



「無理です」



「ハァ、やっぱりか。アハハッそうだよな。糧食も無いし諸侯らは各地に散ってしまった。召集は出来ないだろうよ」



「これからどうしますか? 進退窮まったも同然ですよ」



「どうしようかね~」



アルベルト=カーチスはウイスキーを飲みながらそう言う。傍らに控えていた参謀はカーチスがこの状況を打開する気がない事を薄々気づいていた。当のカーチスもアルフレート=フォン=りりィの魔眼による洗脳が薄まり彼自身本来の自堕落で奔放な性格に戻りつつあった。



「アルベルト家の当主がその有様では下々の者に不安を与えます。真面目に考えて下さい」



「実は西ポーランドに亡命しようかと考えてる。そこで余生を送ろうかと思ってる。もう争い事には疲れた」



「ハァ!? い、今何と!?」



「西ポーランドに亡命して余生を・・・・・・・・」



「この期に及んでノイブランデンブルクの民の見捨てるのか!?」



カーチスの言葉に参謀がキレる。



「・・・・・・・・・・っ」



「保身に走るとは・・・・・・・・・・見損ないました」



「誰でも命は惜しい!! 汚名を着せられようが侮辱されようが最後まで生き残った者こそ勝者だ!!! 参謀、お前を北部総司令官に命じる。全軍の指揮を執り来たる決戦に備えよ」



カーチスはそう言うと腰に下げていた軍刀と胸に付けていた大将階級の勲章を外し参謀に渡す。



「・・・・・・・・・ハァ、分かりました」



典型的なクソな無能と化したカーチスに参謀は諦めの溜め息をつく。そして自らの死を覚悟しながらも勲章と軍刀を受け取る。



長らく仕えてきたカーチスの為ーーーーーーー




最後の奉公としてーーーーーーー




その後、カーチスは最低限の護衛と共にノイブランデンブルクを出て帝国領の西ポーランドへと向かった。参謀はノイブランデンブルク周辺に総動員命令をかけた。





ーーーードイツ帝国シュターヴェンハーゲン・ハンブルク軍



「ハノーファー将軍、偵察部隊の話ではノイブランデンブルクはもぬけの殻だとの事です。このまま進軍すればノイブランデンブルクを簡単に取れるかと思います」



「奴らがそう簡単に本拠地を明け渡すとは思えぬが・・・・・・さらに言うとアルベルト=カーチスは既にポーランド方面に逃げているやもしれぬ」



「ではポーランドに侵攻で?」



ヴィルヘルム=ハノーファーはハンブルク率いる本軍3万は東方シュターヴェンハーゲンに本営を置きノイブランデンブルクを睨んだ。



「ライプツィヒにいる予備軍2万を吸収したらポーランドへ向かう。ノイブランデンブルクに守備隊がいたとしてもその軍勢はアルベルト=カーチスを逃がす為の時間稼ぎの軍勢にすぎぬ。構っていては敵軍の思う壷だ」



参謀の提案を一蹴したハノーファーはそう言う。



「分かりました。ではライプツィヒ軍と合流でき次第すぐにノイブランデンブルクを無視し西ポーランドに侵攻致します」



その7日後にライプツィヒの予備軍2万がシュターヴェンハーゲンに到着。やはりハノーファーの予見した通り予備軍3万はライプツィヒのアルフレート軍との戦いで兵力を磨り減らし2万となっていた。さらにその2万も負傷者が殆どで無傷で動ける者は2万中5千余りという有様だった。

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