表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機巧魔術師の異聞奇譚  作者: 桜木紫苑
第四章 鷲と鶴
178/222

第55話 内通疑惑

機巧暦2140年2月・ブルガリア・クルジャリ・洋館



「これより会議を始める!! 諸将はお集まりか?」



「アルフレート少将、副将のユウナ様がまだ来ていません」



「友那が? まだ寝ているのなら起こしに行ってくれないか?」



向かって左に10人、右に10人の諸将が並んでいる。会議を始めようとした矢先にグレイスがそう言う。



「少将、ユウナ様は夜半に洋館を出られまだ戻っていないという噂がございます」



「あくまで噂だろう? 確証はないではないか。滅多な事を言うな!!」



「これは失礼」



元姫路軍の降将がそう言う。





「少し待ちましょう」

 





「・・・・・・・・・・・」





そんな中ーーーー




カツッ





カツッ




カツッ





「ユズキ少将、遅れて申し訳ありません」




「友那なぜ遅れたんだ?」



ざわつく洋館の広間に着物に身を包んだ友那が現れる。



「柚希、ここにいる諸将らの言葉を信じてはいけないわ」



「何?」



俺は眉をひそめる。他の諸将らも怪訝な目を友那に向ける。




(何をいきなり言うんだコイツは・・・・・・・・)


 


「これを・・・・・・・・・」



友那は手にしていた木箱を俺の座っている傍に置く。蓋を開けて現れたのは100枚近くの書類・・・・・・・



「・・・・・・・・・」



「柚希が信用していたはずの諸将はみんな・・・・・・敵に内通していたの。この書類は洋館の書庫にあったものよ」



カサッ



カサッ



カサッ



カサッ 



友那の言う通り諸将らがモンテネグロ軍司令官やギリシャ統監府の康介あてに書いた手紙だ・・・・・・・・・・・



「見たくない。下げてくれ・・・・・・・」



「分かった」



友那は書類を木箱に戻すと引き下がる。



「ハァ・・・・・・・・」



「どうするの柚希? これを放置すれば後々に面倒な事になるわよ」



「・・・・・・俺にどうしろと言うんだ?」








「この手紙を書いた者を全て処刑して下さい。柚希の今後の為です!!」





友那はハッキリとそう言う。




(頼にもよって諸将の前で処刑しろと言うとは・・・・・・・ま、マジか・・・・・・・・)



「アルフレート少将、この者は何なんです?」




「どこの出身かは知らぬが態度がデカすぎる」




「この小娘!! 我々を何だと思っているか!!」



当然のように友那に対して罵詈雑言が浴びせられる。罵詈雑言を言っているのは北方戦役の時から俺を支え続けてきた古参の将たちだ。



「・・・・・・・・っ!!」



友那は涙目で此方に助けを求める視線を送ってくる・・・・・・・



(まったく自分で蒔いた種だろうが・・・・・・・・・何も考えないで突っ走るからそうなるんだよな~。そろそろ助けてやるか)



「アハハッ!! 友那の言う通り康介に内通した者を処刑する。ただこの俺も処刑されなければならないな」



「え? な、何で柚希が処刑されなければならないのよ?」



「俺も異世界召喚される前に康介と友情関係にあって、召喚後のこの世界でも少なからず会っているし書状のやりとりもやっている。俺も内通しているも同然って訳だ」



「・・・・・・・・・・」



俺の言葉に友那や諸将は黙る。



「ハァ・・・・・今回の諸将の内通に関して見なかった事にする。グレイス!!」



「はっ」



「この書類を洋館の庭にて木箱ごと焼き払え。亡きリムへの弔いとバルカン半島攻略完遂の意味も込めて諸将や兵らの前で盛大に焼き払え」



「分かりました」



グレイスはそう言うと木箱を持って広間を出ていく。



「友那は後で俺の部屋に来い。話したい事がある」



「・・・・・・・わ、分かった」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ