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機巧魔術師の異聞奇譚  作者: 桜木紫苑
第四章 鷲と鶴
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第43話 軍略

機巧暦2140年2月・バルカン半島ブルガリア・ブルガス港・本営



「各将らよ休暇中に呼び出してすまない。ちょっとした報せがあって至急集まってもらった」



「いえお気に為さらず。我らは少将がお呼びとあらばいつでも駆けつけます」



居並ぶ将らに俺は緊張気味にそう言うとオーストリア第3軍司令官がそう言う。司令官に同調して他の将も頷く。



「て、何なんです至急報せたい用とは?」



「新しく仲間をスカウトしてね。紹介したいと思って皆を呼び出したんだ。さぁ入れ!!」




カツカツッ





「本日よりアルフレート公に仕える事になったフレアだ。宜しく頼む」





俺の合図で脇から場に合わぬ白いドレス姿に左腰には剣を差したフレアが現れる。彼女を見た諸将はザワつく。



「獣人だと? 少将、新たな兵士をわざわざ我らに挨拶させなくても良いと思いますが?」



「ご主君、第3軍司令官の言う通りに御座います。わざわざ兵士を紹介しなくても良いかと思いますが」



第3軍司令官とルーマニア軍司令官は表情こそは柔らかいが口は鋭かった。



(獣人は穢れた存在。本来であれば奴隷や使い捨ての兵士という役割が適任だと聞く。彼らのような身分の高い連中からしたら穢れた汚い存在を我らに見せるなと言いたいのか)



「両司令官は何か勘違いされているようだがフレアは兵としてではなく将としての動きをしてもらう。もっと詳しく言えば軍師いや・・・・・・参謀としての働きとなる。だから諸将らに紹介したんだ」



「ご主君、失礼を承知で言いますがこのような獣人の小娘が軍略に通じているとは思いません。どのような経由があってそのような決定を下されたのかご説明願いたい」



「フレアはアフリカ大陸の武狼王女。それだけでこの俺が彼女を参謀に迎える理由が分かるだろう? ルーマニア軍司令官よ」



「なるほど武狼と言えば軍略に優れた族。アフリカ大陸に侵攻していたイギリス連合王国の大軍を三度撃退したと聞く。確かその軍略を考案したのがフレア王女でしたな。これは申し訳ない。姿を見たことが無かった故無礼を申した」



「謝るのは俺ではなくフレア王女の方だ軍司令官」



「はい」



俺がそう言うとルーマニア軍司令官はフレアに静かに礼をして下がる。


「フレア、軍略を諸将らに伝えてやってくれ」



「分かった。アルフレート公より軍権を引き受けた故、今より拙が言う通りにしなければ軍法に則り諸将らを処罰する!! これより軍略を伝えるから心して聞け。此度の休暇でアルフレート公は3万5千の新兵を集めた。5千をブルガス港を守備にあて、3万を二手に分けてモンテネグロとブルガリアの攻略にあてる」



「な!?」



「新兵3万5千だと!? 少将これは一体・・・・・・」



「ブルガス港に入る前から俺が募集をかけたのだ。統監府の統治は最初こそ善政をひいたが今どうだとな。役人の不正は横行し賊がはこびる。なれど統監府は傍観するばかりで解決策を練らぬ。これが統治者たる姿かと。乱世を憂い万民平和を願う者は我が軍に加われと貼り紙をブルガス港やルーマニア全土にバラ撒いたのだ。その結果、有志3万5千が集まった」



「となると全軍は魔導航空戦隊が2万、オーストリア第3軍が5千、ルーマニア軍が1万・・・・・さらに新兵3万5千を加えれば」



「総勢7万・・・・・」



「・・・・・・・・!?」



これまでに無い大軍に諸将らは唖然とする。



(唖然するのは当たり前だよな・・・・・・山越えする前は3万弱だもんな。山越えした後は2万弱に数が減っていたわけだし。急に3万5千も増えたと言われれば驚くわな)



「まず作戦の第1段階として別働隊をもってムサラ山を抜ける事、第2段階はムサラ山からブルガリアの南部に進出しブルガリア軍を奇襲する事、第3段階は主力軍が逃げてきたブルガリア軍をモンテネグロの南側で迎撃し殲滅する事だ」



「別働隊や主力は誰が率いるのだ?」



「それはアルフレート公が決める事。拙が決める事ではない」



第3軍司令官の言葉にフレアそう言う。



「諸将らよ、軍略は以上の通りだ。別働隊、主力軍の将は俺が後日伝える事とする。よいな!!」



「「御意!!」」

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