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機巧魔術師の異聞奇譚  作者: 桜木紫苑
第四章 鷲と鶴
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第35話 パザルジクのモンテネグロ軍

機巧暦2140年2月・バルカン半島ブルガリア・パザルジク



「・・・・・・・・なぜ動かない。奴らは我々がブルガス港に迫っている事を知っているはず!!」



「・・・・・・・・偵察部隊は確認出来るのですがね。恐らく様子見をしているのかと思います。我らは30万の兵力。偵察兵の報告によれば敵はたかが5千余り」



モンテネグロ軍はブルガス港にいるドイツ帝国軍を滅ぼすべくルーマニア、セルビアの残党やブルガリア軍を加え総勢30万の大軍でブルガリアのパザルジクにまで進出し、ブルガス港の帝国軍の出方を覗っていた。



「もう少し全軍を進出させては如何ですか? そうすれば敵はイヤでも気付くかと思いますが」



「いや止めておく・・・・・・・」



参謀の提案に西州軍司令官は首を横に振る。



「な、何故です?」



「ブルガス港外にいる守備隊の数が少ない・・・・・・というか全くいない。何か企んでいるかもしれない。伏兵やら落とし穴やら・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・司令官、慎重なのは結構な事ですがこうやって駐屯している間に士気と食糧がどんどん減っていくのをお忘れ無く」 



モンテネグロ軍司令官はルーマニアが敵の手に落ちた事を受けギリシャ統監府の了承を得ずに出撃、さらにブルガリア軍司令官もモンテネグロが落ちれば明日は我が身と危機感を抱きこちらもギリシャ統監府に内密でブルガリア軍をモンテネグロ軍と合流させた。



「うむ・・・・・・」



兵の内訳はブルガリア軍1万、モンテネグロ軍1万、ルーマニア、セルビア残党軍8万、義勇軍20万と義勇兵の数が圧倒的に多くもし正規軍のモンテネグロ、ブルガリア軍の2万が壊滅すれば瓦解は避けられない状況なのだ。モンテネグロ軍司令官が慎重になるのは当たり前の事だった・・・・・・・・・





そしてパザルジクに布陣してから3週間後ーーーー





「軍司令官!! ギリシャ統監府から書状です」



「統監府からか・・・・・・見せろ」



「はい」



書状を携えた兵が本営に駆け込んでくる。





゛モンテネグロ軍司令官、任務ご苦労である。ブルガス港にいる敵軍は数少なく。しかるに何故、司令官は総攻撃をしないか? 攻撃せずに民が生産した食糧をイタズラに減らすなら此方としても考えがある。許しもなく勝手に兵を動かしたモンテネグロ軍司令官とブルガリア軍司令官は兵権をギリシャ統監府に返し兵力温存の為に退くがいい。これは厳命である゛


            統監府長官 榊原康介




「軍司令官、ギリシャ統監府は何と?」



「兵権を統監府に返し全軍を温存するために退けと言ってきた。まあ勝手に兵を動かしたのは悪いと思っているが、今が好機と思ったんだがな・・・・・・・・・」



「ハァ・・・・・・好機と思うなら何でこんな場所で二の足を踏んでいるんですか?」



モンテネグロ軍司令官の言葉に参謀が諌言する。



「そ、それは・・・・・・・・・とにかく退くぞ。統監府は絶好の機会を逃したのだ。パザルジクに私らのような大軍が駐屯していると分かれば敵軍も安易に南進出来なかっただろうに・・・・・・・統監府のこの判断は敵に南進の機会を与えたようなものだ」



夜更けと共にモンテネグロ軍は全軍をパザルジクから撤退させた。

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