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機巧魔術師の異聞奇譚  作者: 桜木紫苑
第四章 鷲と鶴
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第18話 事の顛末

機巧暦2140年1月・ブダペスト・オーストリア軍・第3軍司令部



「そろそろ総攻撃をしてみては?」



「うむ・・・・・・砲兵部隊の砲撃後、歩兵部隊を城内に突入させろ。あと兵士らには略奪放火は禁止と伝達しておいてくれ」



「し、しかし砲撃するのであれば火災は免れませんよ?」



「城内を砲撃しろとは言ってないぞ。あくまで砲撃の目標は城壁だ。城壁の下部を狙ってひたすら砲弾を撃ち込ませろ。いずれ崩れ去るからな。重戦車にやらせた方がいいかな?」



第3軍司令官は顎を手でさすりながらそう言う。



「重戦では城内まで貫通しそうですが・・・・・・・」



「分かった。砲兵部隊にやらせる。城壁がある程度。破壊したら歩兵部隊を突入させろ」



「分かりました」



その後、砲兵部隊は命令通り国都の城壁に絶え間なく砲弾を撃ち込む。突然の夜間砲撃に驚いた国都側は急いで防衛戦にとりかかろうと守備隊を派遣するも到着時には一部城壁が崩れ落ちていた・・・・・・・・・・・





そしてーーーー




「かかれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」





「「「「うぉォォォォォォォォォ!!!!」」」」





崩れ落ちた箇所から次々と歩兵部隊が国都城内に雪崩れ込む。




「皇族や貴族らを捕縛しろ!! 抵抗する奴はその場で射殺だ!! 」




「うぐぁ!!」




「ひぃィィィィィィ!! お、お助け!!」




「グハッ!!」




国都城下を進み宮殿に辿り着いた歩兵部隊は手分けして宮殿の出入り口を封鎖。抵抗してきた国都近衛兵や守備隊を手当たり次第に撃ち殺していく。




「隊長!! 見つけました!!」



「な、何!?」



一人の兵士がそう叫ぶ。叫びに応じて大量の兵士らが宮殿の奥の間に入っていく。



「こ、これは・・・・・・・」



「クッソ!! 自害しやがったか」



兵士らの前には元オーストリア=ハンガリー帝国皇帝の遺体が横たわっていた。喉を長剣で掻き切ったらしく喉からおびただしい量の血が床を紅く染めていた。皇帝の両隣には全裸の女性が胸部から血を流して倒れていた。



「どうします?」



「・・・・・・・・・遺体を運び出せ」



「わ、分かりました」



隊長は遺体回収を兵士らに命じる。その後、歩兵部隊は後宮にいた美女や王子、家臣とその家族を捕縛し第3軍司令官は戦果上々と判断し国都を引き揚げた。







ザルツブルク・オーストリア軍本営ーーーー



「な、なに? 第3軍司令官が帰ってきただと?」



「はい!! 捕虜や戦利品をドッサリと持ち帰ってきたとのことです!!」



「よくやった」



斥候からの報せにヨーゼフは大喜びすることなく冷静にそう言う。



「捕虜たちはどうしますか?」



「・・・・・・・・・殺せ」



「・・・・・・・!? し、しかしユズキ様からは・・・・・・た、助けるようにと、殺さぬようと言われているはずでは?」



斥候は慌てながらそう言う。



「ユズキは部外者に過ぎない。奴が言うことは現実離れした妄言だ。皇族らを生かしておけば必ずや将来の禍根となる。ユズキは若いからまだ甘ちゃんなのかもしれないな・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・」



「皇族貴族は見せしめとし十字架に架けて串刺しにしろ。余った老若男女は手榴弾なり機銃掃射なりで始末しろ。遺体は燃やして河に捨てろ」



これまでに無い苛烈な処置だった・・・・・・・・・斥候は戸惑いつつ命を受けると第3軍司令官にそう伝える。その後、刑は執行された・・・・・・・・・・刑場は阿鼻叫喚の地獄絵図と化し血生臭さが辺りに漂う。執行される皇族らも地獄の苦しみを味わうが執行する兵士らも地獄の苦しみを味わっていた・・・・・・・刑が終わると一部の兵士らが自責の念にかられ自殺した・・・・・・・・・・

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