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機巧魔術師の異聞奇譚  作者: 桜木紫苑
第四章 鷲と鶴
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第12話 オーストリア軍

機巧暦2140年1月・オーストリア=ハンガリー帝国グラーツ



「撃てェ!!」



「敵中央部隊を破壊しろォ!!」



「敵左翼 攻撃開始!! 右翼を引き下げろ!!」



「「「ウォォォ!!」」」



オーストリア軍は領内にいたハンガリー勢力を追い出す事に成功するも国境付近のぶつかり合いは続いていた。







ーーーーオーストリア=ハンガリー帝国レオーベン



「大将、重戦車部隊の投入許可を願います」



「何故だ? 戦車部隊はハンガリー侵攻の際に使うつもりで今は温存しておきたいのだが・・・・・・・・」



「しかしこのままだと我が軍の歩兵部隊が敵に殲滅されてしまいます」



「・・・・・・・・・・・ハァ」



「このままズルズルと長期戦を続ければ離反する兵士も出てきますよ」



配下の言葉に大将は溜息をつく。オーストリア軍は非正規軍で統制がとれた部隊とは言えなかった。兵士らの支持を繋ぎ止めるにはひたすら短期決戦に持ち込んで勝ち続けるしかなかったのだ。



そんな時、



「大将にお目にかかりたいと言っている者がいますが。どうします?」



「誰だ? 外部の人間か? 内部の人間か? 外部からの人間ならば今は忙しいから対面は無理だと言って追い払え」



「それが外部から人間でして・・・・・・・」



見張りの兵からそう言われる。



「会うつもりは無いから追い払え」



「えぇ!? い、良いのですか? ドイツ帝国の将校ですよ?」



「ドイツ帝国将校? 何の用なんだ? 忙しいが会うか・・・・・・ドイツからの使いとなれば断れないな・・・・・・・・断れば面倒な事になりかねない」



オーストリアとドイツは国境を接していてさらにオーストリア軍の中にもドイツ出身の者が多く混じっていた。



「ではここに連れてきます」



「うむ」





その後ーーーー



「ドイツ帝国陸軍少将・魔導航空戦隊所属のアルフレート=フォン=ユズキと申します。以後お見知りおきを」



「あ、あぁ・・・・・・・私はオーストリア=ハンガリー帝国陸軍大将のヨーゼフだ・・・・・・それにしても・・・・・・・・なんとキレイな事か」



「?」



目の前にいる美少女に見間違える程に綺麗な美少年にヨーゼフは息を吞む。澄み切った緑色の瞳に艶やかな白髪に近い銀髪・・・・・・・



「い、いや・・・・・・・・・ところで何のようで来た?」



「日を追う事に強大化する大日本帝国・欧州本部を潰すためにオーストリア軍の力を借りたい」



「我が軍を頼りにしてくれるのは有難いが見ての通り、ハンガリー軍を滅ぼさなければならない・・・・・・・・其方に戦力を割く余裕はないのだ」 



「ではハンガリー討伐に俺らも加勢しても良いですか? ハンガリー征伐後なら戦力をいくらか割けますよね?」



「な、何!? 一緒に戦ってくれるのか!?」



ユズキの提案にヨーゼフは表情を和らげる。ヨーゼフとしても何処から援軍が欲しい状況だった。



「魔術は使えませが戦術面で力になれればと・・・・・・・」



「なるほど・・・・・・・・それは有難い!! 早速、作戦計画と行こうか」



「分かりました」


 




その後ーーーー



「これが両軍の配置図だ。ハンガリー軍は国境を広範囲に渡って防御を固めている。それに対して我が軍は地形のせいで狭い範囲に軍を展開してる」



ヨーゼフは地図を睨みながらそう言う。ヨーゼフの言うとおりハンガリー軍はオーストリア=ハンガリー帝国の帝都であるウィーンを中心にバーデン、アイゼンシュタット、グラーツ、リンツと広範囲に展開している。対してオーストリア軍はドナウ川の南方であるレオーベン、ザルツブルク、ビショフスホーフェンに展開している。



「・・・・・・・・・・オーストリア軍とハンガリー軍はどちらが優勢ですか?」



「ハンガリー軍がジリジリと押している状況だ。我ら寄せ集めの義勇軍より正規軍が強いのは当たり前といったところだがな」 



「ハンガリー領内には部隊がいないのは何故です?」



ユズキは地図を指でなぞりながらそう言う。男の指とは思えない程、しなやかで細い・・・・・・・・・



「我らを一気に踏み潰すために国境地域に兵力を結集させているのだよ」



「なるほど・・・・・・外はガチガチに堅いが中は手薄だと・・・・・・・ヨーゼフ大将、作戦決まりました」



「なっ・・・・・!? もう決まっただと? か、勝てる作戦なんだろうな?」



ヨーゼフは半ば疑いながらユズキにそう言う。しかしユズキは自信満々にこう呟く・・・・・・・・



「成功すれば必勝になるでしょう」

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