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機巧魔術師の異聞奇譚  作者: 桜木紫苑
第四章 鷲と鶴
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第9話 欧州本部からの宣戦布告

機巧暦2140年1月・ドイツ帝国フランクフルト・宮殿広間前廊下



「なんで殺した?」



「いや其奴と肩ぶつかってさ~ それから言い合いになって其奴が俺らのことを華も無い虎狼のように貪欲で汚い国だって言ったんだよ。それでそれに俺が一発殴ろうとしたら桜華がな・・・・・・・」



「死人に口なしと言わんばかりに言い訳か? 何がともあれ俺の仲間を殺したという事には違いねぇよな?」



リムは口悪い事には違いないが相手を侮辱するような真似をするような奴じゃないのだ・・・・・・・怒り心頭の俺はそう言うと左腰の刀を引き抜く。



「ハァ殺る気か・・・・・・・・まあ当たり前か。桜華!! 手加減はいらん。柚希を殺せ!!」



「承知致しましたご主人様」






ガチャ 






ピンク髪の少女が戦斧を構える。





来る!!






護国の盾(ファビウス)!!」





一気に魔力を刀に流す・・・・・・・・・しかし





「えっ!?」





ま、魔力が流れない・・・・・・・・いや魔力の気は感じるが流れていない・・・・・・・・・




「ハァァ!!」





ガキンッ!!





「グハッ!!」





ドサッ!!





ピンク髪の少女・・・・・・桜華が戦斧を振り下ろすのが早かった。俺はギリギリで柄で受け止めるが後方へ吹き飛ばされる。





「アハハ、桜華、よくやったぞ。それにしても最強の魔術師がなんて無様な・・・・・・・・・・」





「うっ・・・・・・くっ!」





康介はゆっくりと此方に向かって歩いてくる。




「何でお前の魔力が流れなかったか教えてやろうか?」



「・・・・・・・・・・」



「手許を見てみるがいい」






手許・・・・・・・・・だと?






俺は恐る恐る右手を見る。






「な、何だこれ・・・・・・・・・・・・」





右手には金色の鎖が掛けられていた。触れてみても実体が無いのか掴めない・・・・・・・・・・




「術式拘束だ。コイツを発動することでどんなに強力な魔術師でも本来の機能が封じられるって奴だ。魔術協会から認められた者のみが出来る技だ」



「・・・・・・・・なるほど、魔術協会の洗礼を受けて正規の魔術師になったわけか」



「当然ながら協会の許し無く魔力発動しているお前を処罰する権限が俺にはあるってわけだ」



「・・・・・・・・・」



前々からレイシアから魔術協会から目をつけられていると聞いていた。だからいつかはこうなると予測出来ていた。



しかし予測出来なかった事があるーーーーー



まさか・・・・・・親友が魔術協会の手先として俺の前に立ち塞がるとは思いもしなかった・・・・・・・・・・・






「・・・・・・・・・・ッ」






「・・・・・・・・・・・」




お互いの間に長い沈黙が訪れる。





「アハハッ、愉快愉快。これでお互いが敵同士だということを認識出来たか?」




「!?」




「に、新田中将・・・・・・・・」





康介の背後から不気味に微笑む新田の姿があった。



「新田・・・・・・・・貴様が康介を嗾けたのか?」



「榊原少将の久遠少将に対する嫉妬心を最大限利用したまでのことだ。これで自然と帝国と欧州本部は戦争状態になるわけだ」



「戦争にさせるものか!! アンタらのせいで大切な仲間一人失ったことは腸が煮えくりかえる想いだがこれはあくまで私情だ。帝国としては戦争は避けたいはず!! 貴様らの思惑通りに事が進もうと思ったら大間違いだ!!」



「その歳で公私混同の分別がついているとは感心だ~ まあ今日は宣戦布告の口実と挨拶するために来ただけだからね。これ以上は君の部下を殺るつもり無いから安心したまえ」



新田はバカにしたようにそう言う。



「くっ・・・・・・・・・」



「ではこれにて・・・・・・・榊原少将行くぞ」



「分かりました。柚希、次は戦場にて相まみえよう」



「・・・・・・・・」



新田と康介は俺に背を向けるとそのまま去って行った。

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