第2話 帰還
機巧暦2140年1月・ドイツ帝国フランクフルト・宮殿
「只今、戻りました陛下・・・・・・・」
「おお!! 我が皇叔よ。よく無事で・・・・・・良かった」
俺がフランクフルトに入ったのは第一師団、第二師団や諸侯連合軍が入城してから3日後のことだった。皇帝アイネスに挨拶しようと宮殿に入るなりアイネスが抱きついてきたのだ。心配していたらしく彼女は安堵の表情を浮かべる。
「陛下・・・・・・あまり引っ付かれるとと周りの目が」
「ボクは周りの目なんて気にしないから大丈夫だよ」
いや俺が気にするんだが・・・・・・ほらメイドとか執事が怪しげな顔で見てるじゃん!!
戸惑う俺にアイネスは抱きつきながら自分の頭をグリグリと押しつけてくる。
くっ・・・・・・決してロリコンじゃないが小動物的な可愛さがあるな
「さぁ皇叔、ボクの部屋で話そう。話したい事がある」
「わ、分かりました陛下」
アイネス自室ーーーー
「てっ・・・・・し、師匠!?」
「久しぶりだな。バカ弟子。ヴュルツブルクでは相変わらず無茶やらかしたらしいじゃないか。そのお陰で後半戦は魔力切れで殆ど動けなかったと聞いてるぞ」
「・・・・・・・・アハハ」
「叔母上・・・・・でも皇叔のお陰で勝てたようなものとボクは聞いているけど?」
部屋に入るなりレイシアからそう言われる・・・・・・つかいつの間にフランクフルトに来たんだか・・・・・・
「まあ何かともあれ活躍おめでとう。君のお陰でフランクフルトにいたフランス王国軍を撤退させることが出来たんだ。結果的にヘルマンを焦らさせる事なった。感謝してるよ」
「あ、ありがとう・・・・ございます」
レイシアから頭を下げられ俺は戸惑う。
「あっ一応、ユウナもこっちに連れてきてるから安心するといい。私の領内も治安が良いとは言えないからね」
「・・・・・・・・・なんか色々ありがとうございます。それで話とは何ですか?」
「瓦解しかけている帝国についてだ。君も皇族の一員だからな。耳に入れておかなければならないだろ?」
「はい」
「まず空席となっている宰相職にアーチゾルテ=レーゲル陸軍大将を据えた。さらに海軍大臣兼副宰相のオットー=フォン=マーシャル海軍元帥を此度の騒動のアルフレート=フォン=ヘルマン同様の主犯格として逮捕処刑。まあ騒動は終わったわけだが・・・・・・・・・まだ何か問題があるのだろう? レイシア」
アイネスはキリッとした表情でそう言う。ついさっきまでの小動物的な可愛さは何処へやら・・・・・・・・幾重の修羅場を掻い潜ってきたかのような瞳だ。決意や覚悟が宿っているように感じられる。
「この騒動を勢力拡大の好機として動き出している連中がいるのだ。もちろん我が帝国の弱体化を狙ったものらしいがな・・・・・・」
「やっぱり・・・・・・・連中とは誰の事だ?」
俺がそう言うとレイシアは口角を上げてこう言う・・・・・・
「大日本帝国・欧州本部ーーーーーーーーーーー君との関わりが大きい勢力だ」




