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機巧魔術師の異聞奇譚  作者: 桜木紫苑
第四章 鷲と鶴
124/222

第1話 成り上がりの宰相

機巧暦2140年1月・ドイツ帝国フランクフルト・宮殿



「皆の者、反乱鎮圧ご苦労だった!! ボク・・・・・いや私は短期間と言えども叛逆者アルフレート=フォン=ヘルマンの操り人形であった。今、私がここにいられるのは皆の協力があったからこそ。心から礼を言う」



「「「オォォォォォォ!!!!」」」



皇帝アルフレート=フォン=アイネスは宮殿の玉座からそう叫ぶ。広間にはレーゲルやカーチスをはじめとする諸侯連合軍の将らが参列していた。



カーチス率いる第二師団はレイシアから同士討ち不問の報告を聞くと第一師団のレーゲルと共にフランクフルトの城内に入った。さらに後詰めの諸侯連合軍にも無線でヘルマンが死んだことを報せ参集を命じた。



「恩賞の件だが・・・・・・・我が帝国は資金も底に尽きている・・・・・・故に恩賞は出せぬ。私の気持ちだけ受け取ってもらえると有難い」



「なっ!?」



「えっ?!」



「陛下、我々も無い戦費をはたいてまで軍を出したのです。陛下から恩賞を頂けないと自領運用が出来ません!!」



「恩賞が無い・・・・・・だと?!」



「陛下は我々に餓死しろと言うのですか!?」



恩賞無しとアイネスが言った途端、貴族らがギャーギャー騒ぎ立てる。



「黙れ!! 君らは臣民から搾り取った莫大な税金があるではないか!! 領土運用はその血税を使えばいいだろ!!」



「・・・・・・・うぐっ」



「レイシア様・・・・・・そ、それでも足りないのだよ」



「貴様ら・・・・・・!! 此度の戦、何のために連合軍を組んだのか!? 陛下や帝国のためではなく自らの利益のためであろう!?」



「・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・むむむ」



「うっ・・・・・・・」



レイシアの言葉に図星を突かれたのか貴族ら静まった。その後、解散となり貴族らは愚痴を言いながら広間を出ていった。








そしてーーーー



「あの状態では帝国瓦解まったなしだな・・・・・・・」



「ああ・・・・・・・」



「カーチス、宰相になって僕を補佐してくれないか? 諸侯連合軍を率いたの君だ」



アイネスはレイシアとレーゲル、カーチスを広間に残し、今後の政務について話し合おうとした。



「陛下・・・・・・俺ァ、宰相を務めるだけのデケぇ器なんてねぇから無理だ。レーゲルのが適任だと思う」



「カーチス、陛下の前だぞ。口調を慎め」



「あ・・・・・ああ」



「カーチス、僕の前では遠慮はいらぬぞ。僕は皇帝だけど即位して日が浅い。君ら重臣のが経験も知略も上だからね。公私さえ弁えていればそれ良い」



「ありがとうございます」



レーゲルから口調を諫められたカーチスはアイネスに非礼を詫びる。



「さて話を戻すとしよう。宰相は誰がやる?」



「・・・・・・・レイシアがやったらどうか? ヘルマン討伐を成し遂げたのは君だ」



「私もそう思う」



「僕も叔母上が良いと思う」



全会一致でレイシアが宰相の候補に挙がる。しかし当の本人はというと・・・・・・・・



「私は陸軍はおろか政界からも引退した身だ。無能な私が宰相になったところで混乱するだけだ。レーゲルよ、君がやるといい。私はアルフレート家と者だ。陛下もアルフレート家出身・・・・・・私が宰相になれば政務は親族経営となって諸侯から反発を受ける。それを避けるために君が宰相になった方がいい」



「・・・・・・・・そ、そこまで言うなら私が宰相になります」



「おお!!」



「これで決まったね。それではアーチゾルテ=レーゲルを本日より宰相職に命ずる。瓦解寸前の帝国をまとめ上げ、臣民を安堵させよ!!」



レイシア、アイネス、カーチスに推されレーゲルは宰相となった。陸軍の下っ端からコツコツと功績をたて見事に成り上がったのだった。

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