第24話 貴族らの略奪と連合軍解散
ーーーードイツ帝国ヴュルツブルク・北の森
「ハァハァハァ・・・・・・・・うっ」
「少将!!」
「だ、大丈夫だ。少し魔力を消耗し過ぎたみたいだ」
ヴュルツブルクでドルシアと死闘を繰り広げた後、俺は奴が死んだことを確認せずにヴュルツブルク要塞都市の北側にある森に全軍を退いた。
「・・・・・・・・ハァ」
懐から小瓶を取り出し小瓶の中のカプセルを口に含んだ。カプセルは魔力増量剤というもので激減した魔力をこのカプセルで補う事が出来るのだ。
「少将、諸侯連合軍本営から書状です」
「ん・・・・・・ああ」
グレイスから書状を受け取ると一通り目を通す。
「・・・・・・な、何が書かれてました?」
「諸侯連合軍は規律がなっておらず周辺の街や村にて略奪行為が頻発しているため解散する事が決まったと、それでフランクフルトに侵攻するのは規律がなっている第一師団と第二師団、遊撃部隊のみとして遊撃部隊を先鋒に命じると書かれてる・・・・・・・・・」
「私たち100余りで先鋒を? フランクフルトには100万余りの敵がいる。私たち全滅必須ですよ?」
「何を考えているやら・・・・・・・夜襲で敵の度肝を抜くしかないか。明日にもフランクフルトに進軍しよう。いつまでもここに駐屯しているわけにはいかないからな」
「わ、分かりました」
そして翌朝ーーーー
「・・・・・・・zzz」
「少将!! 起きて下さい!!」
「う、うぇ?」
「情けない声出さないで下さいよ・・・・・・・これ見て下さい!!」
「え!? ヘルマンが処刑された!?」
寝ているとグレイスに激しく体を揺さぶられて目を覚ます。寝ぼけながらグレイスから書状を受け取るとそこにはヘルマンがフランクフルト内の反乱に遭い捕らえられて処刑されたと書かれていた。
「・・・・・・・・こ、これはどこらからの書状だ?」
「先ほどフランクフルトから陛下直属の近衛兵がいらっしゃって、この書状をユズキ少将に渡して下さいと言われまして・・・・・・・・」
「書状にある事が本当なら俺らは簡単にフランクフルトに入れるな・・・・・・・でもこの書状が嘘だった場合・・・・・・・ヤバいな」
おびき出す為の罠という可能性も無くは無かった。偵察部隊を出してもいいが今回の場合、偵察が敵にバレればフランクフルトの守りはさらに堅くなり悪戦苦闘する。さらに偵察部隊を尾行して俺ら遊撃部隊や諸侯連合軍の居場所がバレる可能性も充分にある。
「如何しますか?」
「様子を見よう。しばらくここを駐屯地とする・・・・・・・」
「分かりました」
俺は部隊の全滅を恐れしばらくは北の森に駐屯することにした。
ーーーー諸侯連合軍本営
「なっ!?」
「諸侯連合軍は解散ですと!?」
「レーゲル参謀!!」
「黙れ!! 貴様ら乱暴狼藉を働いた心当たりは無いか?」
カーチスとレーゲルは諸侯連合軍の貴族らを集めて今後の事について話し合っていた。
「いや無いが」
「私も心当たりなど無い」
「そもそも我らは乱暴狼藉など働くようなマネはしませぬ」
レーゲルの問いかけに各貴族らは口々にそう話す。
「周辺地域の住民から略奪や強姦、さらに放火などの被害を訴える書状が山ほど来ている!!」
ドサッ!!
カーチスはそう言うと箱の中に入っている書状を床に叩きつける。
「カーチス将帥、レーゲル参謀、これは兵士らが勝手にやった事でございます。我らの責任でありません」
「そうだ」
「うむ」
「き、貴様ら・・・・・・兵士の責任ではなく。自分らの責任だろ!? そもそも兵らを率いているのは貴様らだであろう? ならば監督や責任は貴様らがやるべきだろ!?」
「・・・・・・・・・」
「くっ!!」
カーチスの怒鳴り声に貴様らは完全に萎縮した。
「カーチスもういい。規律も守れない諸侯らを陛下のいるフランクフルトに行かせるわけにはいかない。連合軍は解散はするが諸連合軍侯らには我ら第一師団、第二師団の後詰めを命ずる!! なお諸侯の見張りとして第五師団のアレクサンドル=ハリウス大将、第六師団のナーレス=エルヴィス大将に命ずる!!」
「分かりました」
「御意」
レーゲルの決定にハリウスとエルヴィスは頷く。




