第17話 ヴュルツブルクの戦い
機巧暦2140年1月・ドイツ帝国ヴュルツブルク・諸侯連合軍
「カーチス将帥! 先陣を切った歩兵ならびに機甲師団が壊滅致しました。さらに第一陣も崩され・・・・・・第一陣を率いていた将が流れ弾により戦死致しました!!」
「・・・・・・・第一陣の残党を第二陣に組み込め。第二陣の将にそう伝えろ!!」
「御意」
80万を八手に分けーーーー先陣5万、第一陣10万、第二陣10万、第三陣10万、第四陣10万、第五陣10万、第六陣10万、第七陣10万、本軍5万といった編成となっていた。
「やはり厳しいか・・・・・・・」
「所詮は寄せ集めの軍だ。軍によって強弱の差がデカすぎる」
レーゲルとカーチスは深い溜息をつく。
「そういえばユズキは何をやってるんだ・・・・・・・開戦早々姿が見えないが」
「そうだな・・・・・・・また無茶やらかしてるんじゃ?」
「無茶?」
「例えばいきなりヴュルツブルクの守備隊に奇襲したりとか」
「あーあ、有り得るな・・・・・」
カーチスは納得するとヴュルツブルク要塞都市の方を見る。
ヴュルツブルク要塞都市・ドルシア軍ーーーー
「進めェェェェ!!」
「第二陣!! さっさと進め!! これじゃ第三陣が進めねぇ!!」
「「「うァァァァァ!!」」」
諸侯連合軍はヴュルツブルク要塞の城壁を梯子をかけて登ろうとするがドルシア軍の銃撃や砲撃、投石や糞尿、熱湯・・・・・・・さらに仲間の遺体まで盾や石として使うなりふり構わない抵抗に中々城内に侵入出来ず膠着状態となる。
「ドルシア中将、敵は攻勢を弱めてる。この際に後詰めの軍を呼び寄せて一気に敵を殲滅するのが良策かと思う」
「まあ今の状況なら一気に踏み潰せるけど・・・・・それじゃ面白くないじゃない? だからわざとジワジワと嬲ってやるのよ。あと敵に魔術師がいた場合、私たちが大攻勢に出たところで逆にやられるだけだから」
「慎重にってことか・・・・・・・・」
「そう☆ 出来るだけ少ない損害で勝ちたいから。まあ灰色の亡霊以外に優秀な魔術師がいれぱだけど・・・・・・・・」
「灰色の亡霊は強いというか、滅茶苦茶な耐久力でギリギリまで敵の攻撃を凌ぎながら心臓部を狙うみたいな戦い方だと思うな・・・・・・・血塗れでも普通なように戦うその姿から亡霊って異名がついたとか」
「まあその亡霊は私が葬ったわけでね」
「生きていると噂もあるみたいだぞ。警戒はした方がいいかもしれない」
「そうね」
ニーナの忠告にドルシアは頷く。
ーーーーヴュルツブルク要塞都市・裏門
「グレイス・・・・・・ここは?」
「どうやら要塞都市の裏手かもしれないです。知らず知らずのうちに要塞を突破していたようですね・・・・・・」
「このまま進めばフランクフルトに?」
「・・・・・・・そ、そのようですね。まさかフランクフルトを直接攻めるつもりですか?」
「出来ればそうしたいな」
崖から地上に帰った俺らは森林を抜けヴュルツブルクの後方に来ていた。既に夜は更けていた。
「親父、ここはヴュルツブルク要塞の敵本営を突いた方がいい。間諜の報告だとこの先に70万の帝国軍と100万の王国軍がいるって話しだ。この先を進んでも死にに行くようなもんだ」
「間者を放ったのか?」
「ああ敵情を知れば多少なりとも損害は防げるだろ?」
リムは得意げにそう言う。
「そうだな。要塞都市を攻めよう。でも今日は暗いから森林で夜が明けるまで休息しよう。行動は明日だ」
「分かった」
「分かりました」
その後、俺ら遊撃軍はヴュルツブルクの西にある森林に入り休息をとることにした。