第10話 ベルリン炎上
機巧暦2140年1月・ドイツ帝国ベルリン
レーゲルを取り逃がしたヘルマンは身の危険を感じ、予定を早めてフランクフルトへの遷都を行うことにした。戦車や装甲車を中心とする機甲師団が皇帝アイネスが乗る馬車を取り囲み護衛することになった。
「宰相、民はどうする? フランクフルトに連れていくのか?」
「民はベルリンに残すつもりです。住み慣れた場所のが民も安心するでしょうから」
「うむ」
「全軍出発するぞ!! 進軍開始せよ!!」
出発準備が整うと全軍はガリウスを出た。
数時間後ーーーー
「宰相、ベルリンから大分距離が離れましたが・・・・・やりますか?」
「ああ、あのまま苦しんで餓死するよりかはマシだろう」
「分かりました」
ベルリンから5キロ離れた辺りでヘルマンの配下がそう言う。帝国全土が戦火により経済危機、食糧危機に襲われどこの都市も物価が上がり民衆は明日食べるモノさえ事欠く有様だった。特に深刻化していたのがベルリンで都市として機能していたなかった・・・・・・・
他の都市に行くにしても道や橋は寸断され陸の孤島となっていた。そのため機甲師団らは無理矢理、川を渡りベルリンを脱出したのだ。このままガリウスを放置すれば民衆は餓死により苦しむと判断したヘルマンは情けとして都市にいる民衆を皆殺しにしようと前々から計画していたのだ・・・・・・
ベルリンーーーー
「な、何なんだ・・・・・・これは」
「・・・・・・・親父!! とにかく帝都から出ましょう!!」
ドカッ!!
「・・・・・・・・・敵はどこから撃ってきてる?」
ドカッ!!
紅蓮の炎、焼け焦げた遺体、炎に耐えきれず崩れ落ちる建物、水! 水!! と叫ぶ人々・・・・・・・俺はこの惨状にただ立ち尽くすしかなかった。夜中に突然、四方八方から砲弾の雨が降り注いだのだ。
「恐らくは北の山岳地帯と西側の崖あたりかと・・・・・あと崩れたポツダムからも撃ってきてるかと思われます」
「・・・・・・・・直ぐに敵を迎撃するぞ」
「分かりました」
俺がそう言うとグレイスはそう言う。辺りは砲弾により崩れ栄光を誇ったベルリンは瞬時に瓦礫の山と化した。
しかしーーーー
「親父ィィィィ!!」
「ん? どうした?」
火の手がまわっていない場所まで部隊を移した俺は敵の情報を得るためにリムら100名を偵察として行かした。
「リムの偵察部隊からの報せです」
「オーストリア=ハンガリーもイタリアもロシア=ソビエトも兵を動かしていない様子で今、この帝都を攻撃しているのは帝国軍だとのことです!!」
「帝国軍!? 帝国軍でも誰の部隊なんだ?」
「聞き込み調査をした結果、陸軍大臣兼宰相のアルフレート=フォン=ヘルマンの手勢だと分かりました」
「宰相の手勢が?」
全く訳が分からない・・・・・・何で帝都を攻撃している・・・・・
「ユズキ少将・・・・・・ここは帝都から出るのが最上の手かと思います」
「・・・・・・・わ、わかった」
その後、部隊の安全を考え燃えさかるベルリンから脱出した。しかし行き場が無く。彷徨う結果となる。アルフレート家の領地・ハンブルクに戻るにしても山岳地帯の真横にある街道を通らなければならずイヤでも敵と遭遇する。西プロイセンはシャルロット王女が帝国から完全独立し敵対しているため通るのは不可能だった・・・・・・・・




