第6話 アルフレート=フォン=ユズキ
機巧暦2140年1月・ドイツ帝国東プロイセン・ハンブルク
「ハァ~陛下を助けるとは豪語したはいいが俺は陛下の身内でもない・・・・・・・」
陛下の身内でも無い者が果たしてどれ程の影響力を及ぼせるのか、俺は一介の陸軍少将に過ぎないのだ。軍を率いる上では絶大な権威を誇れるが政治の場となれば無力に等しい・・・・・・
自室に戻った俺は布団に大の字で寝転びそんなことを考えていた。
コンッ コンッ
「ユズキ入るぞ」
「師匠・・・・・・・」
「君にまた重荷を背負わせることになる」
「?」
部屋に入ってきたレイシアはそう言う。
「いきなりだが家督を継いでくれないか?」
「家督?」
「このままではアルフレート家は断絶してしまうのだよ。アイネスは皇室となりアルフレート家は継ぐことは出来なくなった・・・・・・・・君しか適任者が見当たらぬのだ」
「俺はよそ者だ。さすがにアルフレート家を継げない」
「・・・・・・・そこを曲げてくれ」
「・・・・・・師匠」
「アルフレート家を継げば君は現皇帝の皇叔・・・・つまり叔父となる。そうなれば君は帝国で一番の権威を持てるのだ。叛逆の臣下である陸軍大臣の排除も可能だ」
「・・・・・・・・アルフレート=フォン=ユズキとなるわけか・・・・・久遠の姓は消えるという事になる」
「君はこの世界に召喚され元の世界に帰れない身だ。名家であるアルフレート家を継いでも損は無いと思うが・・・・・・・?」
「少し考えさせてくれ・・・・・・・」
「わかった」
返事を保留にした。名家である久遠家・・・・・・捨てるのには抵抗感があった。もちろんこの異世界において俺は姓は役に立たない。アルフレート家を継げばそれなりの地位には就ける。
翌朝ーーーー
「さぁ好きなだけ食べるといい」
「すげぇ」
「・・・・・・・」
「遠慮なく頂くとするわ」
翌朝、食堂にて俺、友那、グレイス、リム、ラム、レムは朝食をとった。テーブルには山盛りのポテトサラダ、トースト、オムレツ、トマトと豆類の炒め物、肉料理などが並んでいる。
「・・・・・・・・・親父、大丈夫か?」
「う、うん。だ、大丈夫だ」
「さっきから上の空だよな」
「グレイス、リム、ラム、レム。明日、ベルリンへ向かうから準備しておくように・・・・・・兵力はそれぞれ200とする。」
「分かりました」
「・・・・・・な、何の為にベルリンに?」
「・・・・・・・・・陛下に謁見するためだ。即位してから1度も我らは謁見してないだろ? 変に謀叛とか疑われてはマズいからな」
俺はそう言うと席を立ち上がる。
部屋に戻り再び考える。
考えて・・・・・・
考えて・・・・・・
考える・・・・・・・・
何が一番いいのか・・・・・アルフレート家の後を継ぐべきか・・・・それとも断って久遠の姓で生きていくか。
そして俺は久遠の姓を捨てる事に決めた。
そして翌日ーーーー
「師匠、アルフレート家を継ぎます。俺は養子ということになりますが、それでも良ければ・・・・・・・わっ!?」
「ありがとう!! ユズキ!! これで私は心置きなくあの世の父上に顔が合わせられる」
レイシアはそう言うと俺の背中をバシバシ叩く。
「・・・・・・・・・」
「私は無能だが君は有能だ。アルフレート家を盛り立ててくれたまえ!!」
こうして俺は召喚前からずっと使っていた久遠の姓を捨てた。そしてアルフレート=フォン=ユズキ陸軍少将となった。




