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瞼影  作者: 直木 新
2/3

平穏な日(2)

 がらがら、という音をたてて引き戸が開く。

 その人物は、こちらめがけて猛然と駆け出す。


 ターゲットはどうやらこちらのようだ。

 足を踏ん張り、全身でそのタックルに身を構える。

 その小柄な人物の突撃は大した威力もなく、私の手により受け止められた。


「りょーちゃーーん!」

「どしたん」


 私にしがみついたさゆみが叫んだ。

 いつもよりテンションが高い。


「さゆみんとこ、ホームルーム長すぎんね」

 横から綾音が口を出す。

「違うよー」

「だからどしたん」

「酷いんだよ!」

「何があったか言えっつーに」

 どうどう、と私がさゆみを落ち着かせ、さゆみの息を整えさせる間を与えた。


「何で私のクラスだけテストがあるの!」

「知らんがな」

 私はそう答えた。


「担任って白崎せんせだっけ」

「あー数学の」

 私はなんとなく察した。

「この前の小テストで、クラスの数学の平均点が一番低いからって、酷いよね!」

「あーねー」

 白崎先生は、堅物だ。責任感が強く落ちこぼれを許さない。

「抜き打ちテストとかしても別に成績上がらないやね」

 綾音が言う。

「間違えたところを分析して、あとで個別に指導するんだって」


 塾だろうか。

 その熱心さに、むしろ先生に感心する。

「平均以下の人だけでいいのにね。平均以上取れた人は迷惑な話だね」

「うう……、私も平均以下だったけど」

 私はじと、っと冷たい視線でさゆみを見た。

 綾音も同様に。

「うー」

 さゆみは語彙を無くした。

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