表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/14

八話

 

「調子に乗ってんじゃねぇ! さっきから聞いてりゃ、底辺底辺って簡単に人を見下しやがって……有名人の知り合いだ? ふざけんなよっ!」


 ヒロシとユウダイが胸ぐらを掴みあって睨み合っている。

 一触即発の緊張した空気に、その場にいる全員が身動きを取れないでいた。


「あの、お二人とも。今日は珠希の誕生日なわけだし、落ち着いて……ちょっと外で――」

 いつの間に近づいたのか、順也が二人の仲裁に入っている。

 外へと誘導しようとヒロシの腕を引いたとき、ユウダイのパンチが順也の頭を叩きつけた。


 鈍く、大きな音が響いて、友人たちが静まり返る。

 順也は、大きな木が切り倒されるときのように、斜め後方にゆらりと倒れて動かなくなった。


「――ちょっと、なんてことするのよ! 順也っ、大丈夫っ?」

 珠希の叫び声を聞いて、ヒロシもユウダイも気まずそうに席に戻る。


 当たり所が悪かったのか、どれだけ呼びかけても順也はピクリとも応じない。

 静まり返ったままの店内は徐々に騒がしくなり、救急車を呼ぼうか、という声まで聞こえる。


 ユウダイを責める声も聞こえてくるが、それらのノイズは耳に入らなかった。

 呼吸をしていることを確かめて、心臓が動いていることを確かめる。

 気を失っただけだとしても、珠希は心配で仕方がなかった。


 カウンターからマスターが出てきて、順也を背負う。

 従業員専用のスタッフルームで様子を見ることになった。


 背後からは、事態を収めようとする由美子の声が聞こえる。

 五分ほどすると再び笑い声が聞こえてくる。

 彼女の手腕に驚かされる瞬間だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ