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彼の話

遅くなりまして申し訳ありません!

沢山のブックマーク、ありがとうございます!

今回はニール視点になります。

「女にだらしがないけど嘘は言わない素直な子」



お前は俺をそう評価するけど。








俺ほど嘘つきな男はいないと思う。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ニール!」


「…げ」

街中で後ろから俺を呼び止める声に思わず顔をしかめる。



「……………」


ゆっくりと振り返ると、予想通りの人物が腕を組み仁王立ちでいた。




「……リリー…」


最近よくつるむ騎士団長の孫で俺と同い年の女。


リリーはつかつかと此方に歩いて来ると体がくっつきそうなくらい近づいて俺を睨む。




「あんた、いつになったらハルを私に紹介してくれるのよ!?」


「…お前は絶対駄目だ!」

「何でよ!?」

「何でも!!」



こいつは良く言えば社交的。悪く言えばおしゃべりで口が軽い。


そんなやつを今のハルに近寄らせるのは危険だ。


あんな事があったんだ。ハルの秘密がバレるのは避けたい。










「君は何故サミエルが魔族だと分かったのかな?」



数日前ハルと一緒に陛下と謁見した帰り際、陛下にそう問われた時、俺は一瞬息の仕方を忘れた。


「私はハルさんに"サミエルと会ったらしいね"と尋ねたけれど"魔族に会った"とは言っていないよ」



「………っ……」



視線をさ迷わせ返事が出来ない俺に陛下はふっと笑い、俺を解放した。





何故魔族だと分かったか?


見たからに決まっているじゃないか。



あの日、ハルが神殿に向かった日。



俺は前からしつこく付きまとわれていたシスターを8股を理由に振った。


その足ですぐにハルの後を追った。


しっかりしていそうで危なっかしいハル。

好奇心と食欲が旺盛で食べられそうなモノは取り敢えず口にする食い意地の汚さ。



…明らかに毒だと分かる見た目のきのこを焼いて食べようとして近所の住人総出で止めた事もある。


そんなあいつが森で変なモノ食べていては困る。


急いで神殿に向かおうと森にある分岐点に差し掛かった時だ。




ハルの悲鳴がした。



しかも声は神殿とは逆方向の魔界への扉の方から。


地図まで渡したのに何で逆に行ってるんだ!と心の中で突っ込みを入れ、俺は扉の方へと走った。





そこで見たんだ。


漆黒の羽根を持つ男の俺ですら見惚れる美貌の男とハルの姿を。



その異形の姿と魔界の扉が開いているのを見てそいつが魔族である事はすぐに分かった。


神殿。と言う言葉を聞いて我に返りハルの方を向くと同時に眩い光がハルを包む。


「っハル…!」


俺が草むらから飛び出すと同時にハルと男は消えた。





男は消える間際此方を見て嗤った。





…あれは、自分の獲物を取られない為の威嚇だ。


急いで神殿に向かうも、厳重な警備で中に入る事が出来なかった。


まあ、次の日ハルが何食わぬ顔で畑仕事していたので安堵したんだが。






「……………人が話してるのに自分の世界に飛ぶんじゃねぇ!!」

ゴスッ!!

「がはっ…!!」

鈍い音と共に腹部に激痛が走り、俺は膝から崩れ落ちる。


「さ、流石は騎士団長の孫…。パンチの重みが違う…」


ふんっと鼻をならし俺を見下ろすリリー。



「それよりメーベルの方が騒がしいんだけど…」



リリーに促されて俺は自分の家がある地区に目をやる。


そこには通りにまではみ出す黒山の人だかり。




………何だか嫌な予感がして、俺とリリーは人を掻き分ける。




「…………おいおい…」


人だかりの中心にある家は、やはりハルの家。



「騎士団員が見張りをしているわね…」


………ってことはつまり。

いるのだ。陛下が。ハルの家に……。


「~~~~っ!あいつ遂に何かやったのかよ!?」


わざと大声を上げると、少し待って扉が数センチ開く。

そして騎士が「ニール・オルソンは中に入れ」と告げる。


少しだけしか開いていない扉を横向きになりながら入る。



………家の中に入って唖然とした。



見慣れた家のリビングに陛下と魔術師団長。

家には遮音魔法が施されているからそうじゃないかと思っていたんだ。

そしてあの日見た魔族。……1人増えてる。



「…ほう…」


サミエル、だったか。あの魔族は俺を見て嗤った。




だが、あの日の嗤いとは違う。


あれは欲しいものを手に入れた者の嗤い方だ。




ここからの話は割愛するが、魔王であるはずのサミエルに思わず同情しそうになった。




俺の質問から話が急に進んでいったので、若干気にしていたんだが、ハルが魔界の食べ物を食べた時に吹き飛んだ。



こいつの食い意地の汚さはどうしようもない。





会合が終わり、陛下達も帰った。家の周りにいた人だかりもなくなった頃、ハルはポツリと呟いた。



「…1粒で1週間…。じゃあ、向こうにいる間向こうの食事を食べちゃったら………」

これだよ…。


「じゃあ1週間分の弁当でも作っとけば?」


「…………腐る…」


「…保存が効く携帯食料が騎士団にあったはずだぞ」


後でリリーにでも聞いてみるか。


その時。



「話は全て聞かせてもらったわ!!」


バアァァァン!!


玄関の扉が壊れそうな勢いで開き、リリーが立っていた。



こ、こいつ……!!



「って言っても陛下達が帰って魔法が解除されてからの、だけど」


リリーは呆然としているハルに近づき、両手をしっかりと握る。


「はじめまして、私はリリーっていうの!前から貴女と話してみたかったんだけど邪魔が入って…」


ちくりと嫌味を言うリリー。

頭に?マークをつけるハル。



「…まあ、わからなくもないけど。1週間の食事だったら、毎日扉の前に食料を置いておくのはどう?」

携帯食料はあまり美味しくないのよ。と付け加える。



……扉の話はしていないはずだ…。こいつ、本当はどこから聞いて…。


リリーはハルの手を握りしめたまま俺の方を向く。



「…私だって騎士団長の孫よ…。扉の事はおじいちゃんから近づくなと言われていたし、滅多に神殿から出ない魔術師団長がいればある程度の察しはつくわよ」


なめないでよね。と睨み付け、再びハルと話始める。



…本当に俺はリリーを信用していなかった。


最低だな、俺は…。



リリーには後で謝罪しよう。

その後で陛下や魔術師団長に話して協力してもらおう。



「…え、じゃあリリーちゃんは好きな人がいるの?ニールじゃなくて?」


「こいつはごめん被るわ」


…止めろ、そんな目で見るんじゃないハルよ。



「…リリーちゃん。私が向こうに行っている間、ニールが女の子関連で問題起こさないように見張っててね!」 


お前じゃないんだから!!とツッコミそうになるがグッと堪える。


「…女の子関連って、ニールは…………ああっ!そういう事!うん、任せて!それから私の事はリリーって呼び捨てにしてね!」


リリーが何かを察して話を合わせると、そこから女同士で話が盛り上がり俺はいたたまれなくなって帰る事にした。


「…ニール!また明日ね!」


俺が背中を向けた時、ハルが笑顔で手を振る。


俺もつられて手を振り、その場を後にした。



第一印象はしっかりした子だったのに、今じゃ年上なのに手のかかる妹みたいだ。




家族の様に思っているんだから心配したり世話を焼きたくなるんだよ。



そう、家族みたいに。



















ほら、俺は嘘つきだ。

2パターン用意していたんですが、ハルに女友達を作りたくてこちらにしました。

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