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両陛下の会合(1LDKのリビングで)


「…そ、粗茶でぇす……」


リビングの4人がけのテーブルに座る4人の男性達に緊張しながらお茶を差し出す。魔族の2人は人型に戻っている。


て、手が震える…。


「ありがとう、ハルさん」


陛下が此方を見上げて微笑んでくれた。ありがとうございます!

陛下の笑顔、プライスレス!


「いただこう」


こちらは魔術師団長のセランさん。今日はいつになく厳しい顔をしている。……デスヨネー。


因みに魔族の2人はにこにこしながら飲んでるサミエルと皮肉気に笑うカナタさん。マジあいつ殴りたい。サミエルは笑うと幼い。あの笑顔は好きだ。



ちらりと外の様子を伺うと、音や声からして黒山の人だかり。

外から見える部分は全部隠したから見えないはず。



そして家の中には私を含めて5人。魔術師団長がいるからという理由で護衛の騎士さん5人は外で待機している。…それが人だかりの理由だと思うんだ。





…と、あら?何だか聞き慣れた(ニールの)声がする。



「何だこの人だかり!!あいつ遂に何かやったのかよ?!」



誤解だ!!というか遂にって何だよ!私はやらかしそうと思ってるのか!?



ニールの声に苦笑した陛下が席を立ち玄関まで移動する。

そして外で待機する騎士さんに

「彼は入ってもらって大丈夫だよ」

と告げる。




サミエル達をギャラリーから隠す為、ニールには横向きに入ってもらった。

その際、家の中に背を向く姿勢になったがドアが閉まり家の中を見て




「………何だこれ……」



と唖然としている。わかる。私もそう思ってる。



本来なら王宮やら整った舞台で行うはずの会合。



決して1LDKの庶民の家のリビングではないのだ!

 



席についた陛下を呆然と見ていたニールだが、その視線をサミエル達の方に向ける。



「……ほう…」


サミエルがニヤリと笑うがニールはそれを無視して、無言で陛下の右斜め後ろに立つ。



因みに私はこの家の主にも関わらずキッチンに逃げている。



あんな顔面偏差値が高い人達の側なんて無理無理!

お茶汲み係に徹します。指を鳴らしてお呼びください。



「それにしてもお前は何をやっている」


沈黙を破ったのはセランさんの厳しい一言。勿論サミエルに対して言っている。


「何をとは見てわからぬか?ハルに逢いに来たに決まっておろう」


「え、何その口調。魔王っぽいんだけど」


「魔王だ!即位したのだからそれなりの言葉遣いをせねばなるまい」


「…えー…」



などと言う会話をキッチンから盗み見ているとこちらに背を向ける形で座っていたカナタさんが(おもむろ)に席を立ち、カップを持ってキッチンにやって来た。



「ご馳走さまでした、ハル様。庶民にしてはなかなかで御座いました。及第点です」


なかなかの失礼な発言だが、にっこりと笑ったカナタさんの破壊力に勝てず小さな声で「ありがとうございます」と言うのが精一杯だった。



私の言葉にカナタさんは小さく頷き、私の手を取るとそのままリビングへ戻ると自分が座っていた席の椅子を引く。

そして私に座るように促す。



「……え、あの、カナタさんはお客様なので…」


私がやんわりと断ろうとすると、


「はい、それは先程まで。今からは臣下でございますので、奥方様に座っていただかねば」







おく、がた…………?奥……………………



…はうあっ!!!

「いやいやいやいやいやいや!!」


私が勢いよく首と手を横に振り否定すると、ゴンッ!と大きな音が2つした。


見るとサミエルと陛下が机に突っ伏している。



「そ、そこまで強く否定しなくても良いではないか!!」

ガバッ!とサミエルが起き上がりこちらに抗議する。ちょっと涙目だ。



陛下は突っ伏したまま痙攣している。


「…ひっ………は、腹が痛い……ひひっ………」



どうやら笑い過ぎの様だ。



因みに他の3人は一様に顔を背けているが肩が震えている。




「そもそも何故余の求婚を拒否するのだ!?

そなたが興味を持つと思って魔界の一等地を農地にした!

キラービー達の協力の元に養蜂だって行っておる!」



え?養蜂?マジか。



「本当にやるとは…」


と、何故か呆れ気味に呟くセランさん。


「ハルよ、説明を求める」


サミエルが私を真っ直ぐに見つめる。その表情はいつも私に向ける人懐こい笑顔ではない。



先ほどまで笑っていた陛下もこちらを向いていて、部屋中の視線が私に集まる。



…ここで私が拒否したら、サミエルは私を諦めるだろうか…?




…………うん。


ここは本当の気持ちを述べないとマズいぞ。



約2名程、「お前ここで嘘でも"2度と来るな"とか言ったら即刻魔界に監禁するからな」というオーラを放っている。




監禁は嫌だ。どうせ嫌われる本当の事を言って嫌われたい。





「魔界って聞いてやっぱり怖い場所って連想しちゃうし、いや、さっきの養蜂にはそそられるけど、まだこの国でやりたいこともあるし…。

そりゃあ私だってサミエルの事気になってはいるけど、お互いの事何も知らないのにいきなり結婚ってのは突然すぎると思う。

まずは友達、からとか……あっ!でもデートは街中じゃできないから森になっちゃうんだけど………」















……………………………あれ?





沈黙。



何故か皆が沈黙している。



……や、やっぱり魔王相手に「お友達から」は失礼だった!?


それともこの世界ではデートはしないの?!


………あ、ニールいっつもしてるか。



私が混乱していると、ニールが恐る恐る語りかけた。


「お、お前、それって魔王の事が好きって事か………?」




「………へ?…………好き?そりゃサミエルのこと嫌いと思った事なんて1度も……………」



「………………つ」




私の返答に、サミエルが片手で顔を覆う。


…………。


その仕草とサミエルの耳が赤くなったのを見て私は確信した。







私、やっちゃった………?


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