プロローグ
初投稿です。拙い文章ですがお読みいただけると嬉しいです。
その日の私はかなり落ち込んでいた。
会社で上司とお局様にこってり叱られた。
そりゃ私の言葉使いは少々刺があるよ?うん、それは反省してる。
でもさ、わからない事があったから質問したのに返ってきた応えは「私に聞かないで」だった。
いや、この案件前の担当貴女ですよねー!?「わからない事があったら聞いて」って言ったのも貴女ですよー?!
それで口から出た言葉は「じゃあもう聞きません(語気強め)」だった。
言った後に周りに新人の子がいたからあちゃーって思った。今のはいけない。後輩に見せていい態度ではなかった。
そう思い謝罪しようとお局様の方を見ると泣きながら上司に事の顛末(自分主観)を語っていた。
そこから一時間程二人に説教された。
その間私は自分の主張をしなかった。
お局様に押し付けられた仕事の数々。陰で新人の子達に私の悪口を言う。その結果私は社内で問題児扱い(児って言う年じゃないけど)。
何度も辞めたいと言ったのに人手不足を理由にのらりくらりと話をはぐらかす上司。
全てが理不尽に思えて泣けてくるけど、歯を食いしばって耐えた。私にも悪いところがあったから。「申し訳ありません」の言葉を繰り返した。
でも言葉使いは育った環境からすぐには変えられないんだよなー。いきなり大人しい言葉使いになったら兄達が腹を捩らせて笑い転げる姿が容易に想像できた。
なんか腹立つ。奴らならやりかねん。ついでに母親もやりかねん。よし、帰ったら3番目の兄を殴ろう。1番目と2番目は駄目だ、奴らは悪魔だ。母親は魔王だ。
今日はやけ酒だ!酒を飲んで兄に絡もう。3番目の兄は上2人に比べたら優しい。上2人に比べたら!だが。
そんな事を思いながら近くのコンビニに入る。
「いらっしゃいませ~!」
いつもの気だるげな学生バイトの声ではない可愛らしい声。
新人ちゃんかな?とスマホから目を離して店内に目を向けた。
「ようこそ~移住希望の方ですか~?」
私は、確かにコンビニに入ったはずだ。
何処にでもある全国何千店舗ある有名なコンビニ。
なのに私の目の前に広がるのは
高い天井。茶を基調とした落ち着いた雰囲気の廊下。床に敷かれたふかふかの絨毯。奥にあるのは受付…?その前に沢山の人が列をなしている。
その人種は様々だ。アジア系の顔の人。アフリカ系にヨーロッパ系。
…え、あ…?ん…?
「お客様~?」
その言葉にはっとして視線を左に移すと愛らしい少女がこちらを除き込んでいた。金髪に青い瞳に白い肌。ヨーロッパ系か?それにしては日本語が流暢だな。あ、ハーフとか?
「…えっ、と……」
混乱して上手く言葉が出ない。
いじゅう……移住…
あ、そっか!私ったらスマホに視線落としてたから隣の不動産屋に入っちゃったのか~!ここのコンビニの横コインランドリーしかなかったはずだけど。
いやぁ、失敗失敗!てへっ!(ひっ!寒っ!)
と、自分にツッコミを入れつつ「あ、間違えたみたいで…」なんて言いつつ回れ右をして不動産屋から出ようとして視界に入ってきた景色は
見慣れたコンクリートジャングルではなく、潮の香り漂う港。
その港に入港する船は鉄ではなく木製。乗り降りする人達は先ほど見た人達と同じく人種は様々。
夜だったはずなのに青空が広がる。あ、カモメ飛んでる。
いや、あの、これ、異世界、とか言うやつデスカ………?