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ヤンキーが語る昔ばなしシリーズ  作者: 山田マイク
『ヤンキー昔ばなし』
5/40

5 『さるかに合戦』


 ちす。

 今日もやべーくらいあちぃな。


 こういう暑い日は逆に熱いもん食うといいらしいってカーチャンから聞いてよ。

 昨日、めちゃくちゃ辛い唐辛子入りのタンメン食ったのよ。

 とにかく汗をかいた方がいいっつーからよ。

 辛いもんを食いまくったわけ。

 

 ……そしたらよ。

 今日、死ぬほどケツがいてえよ。

 お前ら、あんまりカーチャンの言うことマに受けちゃだめだぜ。


 そんなことより、今日もおもしれー話、用意してきたからよ。

 ま、聞いてくれよ。 


 すんげー昔のことだよ。

 とある村に猿とカニがいたのよ。


 でよ。

 柿の種を拾った猿が、美味そうなおにぎり持ってるカニに、こう持ち掛けたのよ。


「この柿の種とおにぎり交換しよう。柿の木が育てばおにぎりよりいっぱい食えるぞ」

 ってよ。


 おにぎりと種を交換したカニはよ、早速、それを土に埋めて育てたのよ。

 一生懸命育てたところで、猿がやって来てよ、木に成った柿を独り占めしてよ、あろうことか、柿をぶん投げてカニを殺しちまったのよ。

 

 ……ひでー話だよ。

 俺ぁよ、ここまで聞いてブチギレたぜ。


 この猿だけは許せねえよ。

 柿を横取りしただけじゃなく、命まで奪っちまうなんてよ。

 はっきり言って、人間のやることじゃねえよ。


 あ?

 猿だから人間じゃないのは当たり前?


 ……。

 …………。

 ………………ほんとだ!


 おめー、頭いいな。

 どっかいい大学出てんのか?


 でよ。

 実はこのカニには子供がいてよ。

 カニの子供は猿に復讐しようって考えんだよ。


 ま、当然だよな。

 カーチャンを殺されたんだからよ。

 俺でも、ぜってーゆるさねーぜ。

 ガセ情報で俺のケツを爆発させたカーチャンでも、カーチャンはカーチャンだ。

 

 でよ。

 カニは仲間を集ったわけよ。

 カニじゃ猿には勝てねーからな。

 んで、その仲間がよ、ハチ、うす、牛のうんち、栗、だったらしいわ。


 …………ねーよ!

 

 ねーだろ!

 いや、ハチは分かるよ。

 臼と栗もまあ許してやるよ。

 

 でもよ……



 牛のうんちってなんだよ!



 認めねー!

 俺ぁ、ぜってー認めねーよ!

 そんなもん、牛のうんちを戦力として認められるかよ!


 俺もよ、昔は族同士でよくケンカしたもんだよ。

 そのたびに、知り合いのつえーやつに助っ人を頼んだもんだよ。

 でもよ……。


 牛のうんちを頼ろうと思ったことはねーよ!


 いい加減にしろよ!

 カーチャンの敵討ちだろうが!

 もっとちゃんとしたダチを選べよ!


 ……とまあ、そんな風に思ったんだけどよ。

 なんと、猿の野郎、牛のうんちに足を滑らせて転んだらしいのよ。

 そんで、その上から栗とかハチが襲い掛かったんだってよ。

 牛のうんち、すげー役だったんだって。


 人間、思い込みはよくねーよな。

 俺ぁ、マジで牛のうんちリスペクトするぜ。


 は?

 臼は何してたかって?

 わり、聞いたんだけどよ、覚えてねーわ。


 でよ。

 猿は結局やられちまって、カニは見事敵討ちを果たしたってよ。

 

 マジでめでたしめでたしだよな。



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