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ヤンキーが語る昔ばなしシリーズ  作者: 山田マイク
『ヤンキー昔ばなし』
2/40

2 『鶴の恩返し』


 うーす。

 今日はよ、ちょっとためになる話しようかと思ってよ。


 これまたすんげー昔のことなんだけどよ。

 クッソ田舎にジジイとババアが住んでたんだって。


 んでよ、ジジイが街に買い物に行ってたら、その途中に鶴が猟師の罠にかかってたんだって。

 ジジイ、それを助けてやったらしいんだわ。


 ま、当然だわな。

 男なら、弱い奴とか傷ついてる奴を助けるのはマジ当たり前だべ。


 いや、別にいいかっこしようってわけじゃねーんだけどよ。

 それが俺のポリシーってやつなんだわ。


 それというのもよ。

 実は俺も、昔よ、似たようなことがあってよ。

 大宮のイオンに行った時、トイレで禿げたおっさんが地元の不良どもにカツアゲされてたわけ。

 俺よ、そういうのマジ許せねータイプだから、やめとけつって声かけたのよ。


 そしたら向こうは当然ブチギレだよな。

 5人もいやがったから、情けねー話、ボッコボコにされちまったよ。

 奴ら、俺を殴るだけ殴ったら飽きてどっかいっちまったよ。


 でもその隙におっさんが逃げたからよ。

 ま、俺が恥かいて終わりならそれでいいやって、結構満足してイオン出たの。

 

 そしたらよ。

 さっきの逃げたおっさんが入口で警察つれて来てたの。

 逃げたんじゃなくて警察呼びに行ってくれてたんだな。


 でよ。

 警察に色々聞かれたんだけど、めんどくせーから全部無視して帰ろうとしたんだよ。


 まあよ、警察はチンピラ同士の喧嘩だっつってすぐ帰ったんだよ。

 けど、おっさんだけは引き下がらねーの。

 お礼をさせてくれ、せめてご飯だけでもって言い張るわけ。

 しょうがねえから、ちょうど腹も減ってたし、そのおっさんの家で飯おごってもらうことにしたの。


 でよ、そのおっさんの家についていったら、若い女がいるのよ。

 なんか生意気そうなヤンキー女でよ。

 俺のこと見てすんげー嫌そうな顔してるわけ。


 そんときは犬派だった俺が苦手な猫もいたし、正直なとこ、来るんじゃなかったって思ったぜ。


 でもよ、その女が作ったチャーハン、くそうめーの。

 料理の手際もいいし、お茶とか淹れてくれたし、趣味も裁縫とか言ってたし、なーんか見た目と違ってクソ家庭的なのよ。


 そのギャップがよかったんだな。

 俺ぁすっかり惚れちまってよ。

 おっさんの目を盗んで、口説くどいちまった。


 そう。

 それが俺とユミの出会いってわけ。


 俺ぁ神様とか信じねえけどよ、そんときばかりは感謝したね。

 ユミと出会えた奇跡によ。


 まあ、俺が何を言いてえかっつーとだな。

 人助けをすると良いことが帰ってきますよってことだ。


 そうそう。

 鶴を助けた爺さんとこにも、鶴が恩返しに来たんだってよ。


 まじでめでたしめでたしだよな。



次回、浦島太郎

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