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ヤンキーが語る昔ばなしシリーズ  作者: 山田マイク
『ヤンキー昔ばなし』
16/40

16 『舌きり雀』


 ふんふふーん。

 ふふふーん。


 ふふん。

 ふふふん。


 ふーん!

 ふふふーん!

 ふふふふふふふふふふーん!


 ……ふん。

 ふふん。

 ふーんふーん。


 ふふふんアメリカ~。


 ……ん?

 お、おい、てめえどっから見てやがった?


 え?

 かなり前から?

 俺がイヤホンで音楽聞きながらエアギターしてたとこから?


 ……て、てめぇ。

 み、見てたんなら早く声かけろよな。


 ま、まあいいよ。

 んじゃ、早速今日も始めんべ!


 すげー昔よ。

 あるところにジジイとババアが住んでたワケ。


 でよ。

 その夫婦のとこによ、雀がよく飛んで来てたのよ。

 で、ある日、雀の内の一匹が、ババアの使ってる糊を食っちまったわけ。


 そしたらババアぶちギレちまってよ。

 雀のベロを切っちまったのよ。


 ったくよ、どうしようもねえ、ひでえババアだよ。

 糊くらいいいじゃねーかって思うぜ。


 でよ。

 ジジイも俺と同じように思ったらしくてよ、ババアの代わりに雀に謝りに行くの。

 

 雀の村に着くと、舌を切られた雀が出てきて言うのよ。


「勝手に食べた私が悪いんです。でも、わざわざ謝りに来てくれてありがとう」


 つってよ。

 んで、雀はそのお礼にっつって、ツヅラをお土産にあげますって言うの。

 驚くべき謙虚さだべ。


 用意されたツヅラは二つ。

 大きいのと、小せえの。


 この2択よ。

 俺なら迷わず小さい方を選ぶね。

 

 え?

 意外だって?

 俺ならでかい方を選びそう?

 

 いやよ。

 実は俺ぁ、大きい箱のプレゼントにトラウマがあんだよ。


 その昔よ、俺の誕生日の日のことよ。

 自分の部屋に戻ったら、机の上にメモが置かれてあったのよ。

 メモにはこう書かれてあったわけ。


「お兄ちゃんにプレゼントがあるの。私の部屋に置いてるから取りに来て ヤヨイ」


 ってよ。

 

 俺ぁ、正直びびったよ。

 前にも言ったけどよ、ヤヨイの部屋は超こえーんだよ。

 変な魔方陣が描いてあるし、暗がりからよく分かんねー生き物の鳴き声がするし。


 でもよ。

 可愛い妹からのプレゼントよ。

 無下にするわけにゃ行かねーだろ。


 ってことでよ。

 行ったよ、ヤヨイの部屋によ。

 そしたら、異様な魔方陣の上によ、置いてあったんだよ。

 

 異常にでけー箱が。


 なんかドクロがいっぱい書かれててよ。

 箱から禍々しいオーラが出てんのよ。


 俺は嫌な予感でよ、心臓が張り裂けそうだったよ。

 でもよ。

 思い切って開けてみたんだよ。


 そしたらよ……


 中には真っ黒い毛だらけの生き物が入ってたんだよ!

 その中心には真っ赤な血のようなもんがついててよ!

 超やべー感じなんだよ!

 俺ぁ恐怖でおののいたぜ!


 そして次の瞬間――


 そいつが飛び出して来たんだよ。


 ……俺ぁあまりの恐怖に気を失っちまってよ。

 気付いたら自分の部屋に寝てたよ。


 目覚めたら隣には頭に真っ赤なリボンをつけたヤヨイがいてよ。

 なんか抱き着きながら、こう言うんだ。


「プレゼント、受け取ってくれてありがと、お兄ちゃん」


 ……こえーよ!

 あの箱には何が入ってたんだよ!

 俺ぁ何を受け取ったんだよ!


 ……え?


 その箱、ヤヨイ本人が入ってたんじゃないかって?

 血に見えてたのはヤヨイのつけてた赤いリボンじゃないかって?


 ……まあ確かにヤヨイの毛量なら、上から見ると毛だらけに見えそうだけど。


 でも、それだといよいよ意味が分からねーだろ。

 自分がプレゼントってどういう意味だよ。


 ま、とにかくよ。

 そういうことがあってよ、俺ぁ、でけえ箱のプレゼントが怖いワケ。


 でよ。

 ジジイは小さいツヅラ選んだらしいのよ。

 んで、話を聞いたババアも雀の村に押しかけて、ババアは大きいツヅラを選んだの。


 そしたらよ。

 小せえ方には財宝が。

 んで、大きい方には――やっぱり妖怪が入ってたらしいぜ。


 マジでけえ箱には要注意だぜ。



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