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第2話 恩寵(スキル)(1)

 俺達は神殿跡の廃墟にいる。

 あれほど荘厳さに満ちていたはずの神殿は、女神と天使がいなくなるとたちまち輝きを失い、本来の姿を現した。


 崩れた石柱。雑草が生え放題の大広間。天井は抜け落ち砕けた石像があちこちに倒れている。


 その惨状を見て俺達はこんなところにいたのかと愕然とした。


 と、同時に女神がいるだけであんな風に豪華絢爛に感じられるということは、女神の力はハンパなく強いということでもある。


 ならば、そんな女神からスキルを与えられた俺達にクエストをクリアするなんて簡単なことじゃないかと思い直した。


 荒れ果てた神殿を見て落ち込んでいても何もいいことはない。

 俺達は班分けをして神殿とその周辺を探索した。


 RPGロール・プレイング・ゲームよろしく、まずはチュートリアルがあるはずだと、自分達が残された神殿をつぶさに見て回った。


 女神達が降りたステージのようなところは祭壇で、奥の方には女神像が倒れていた。女神像の両脇にも台座があって足首だけが残っていたが、きっとこれがラファエルとエレレートの像だったに違いない。


 倒れていた石造の女神は、俺達が目にした女神よりちょっとだけ綺麗でかっこよくて、いや、俺達が見た女神もしゃべらなければそうだったと思うんだが、この世界の創造神がこんな形で放置されていることに何とも言えない気分になった。


 ちなみにラファエルとエレレートの石像は砕け散ったのか見つからなかった。

 ざまあみろ。とちょっとだけ気分が良くなったのは救いだろう。


 大広間から廊下で繋がる神殿の離れも調べた。

 ここには人がたくさん住んでいたらしく、寄宿舎のような二段ベッドが配置された部屋や食堂、調理場らしき部屋があった。


 しかし、いずれの部屋も荒れ果てており、そのままではここを利用することは難しいと思えた。


 神殿の周りも見て回ったが、木々が鬱蒼と茂っていて、本格的に探検の準備をしないと中に入っていくことはできない様子だった。


 神殿をくまなく見て回ってわかったこと。


 昔は人がたくさん住んでいたらしいこと。

 放置されてから何十年も手が入っていないこと。

 周りは森で周囲がどうなっているかわからないこと。


 いいことが何もない。


 なによりチュートリアルらしきイベントもフラグも何もなかったこと。

 これが俺達を落ち込ませていた。


 少なくともNPCやスクロールの類でクエストやそのクリア条件を教えてくれるものなんじゃないのか?

 綺麗なお姉さんが受付でチュートリアルをしてくれるもんじゃないのかよ。


 なあ、これ、ちょっとおかしくなくない?


 俺達は期待していたものがなかったことに落胆していた。

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