プロローグ2
学校に着いたシンゴは溜息を吐いた。
「あ〜あ、まだ懲りないんだ?いつになれば自分の身の丈がわかるんだろうな、コイツ」
「もしかしたら、そんなことも考えられるほどの頭も無いんじゃない?ギャハハ」
「ハハッ、確かに。シンゴだもんなぁ笑」
朝のホームルーム前の時間に小悪党3人組、上から宮間浩介、本田武史、檜山翔に机を囲まれ、毎朝の日課になりつつある嫌味を言われている最中である。
ちなみに真子は友人とトイレに行っているためいつもどおり気づかない。
こんな時を狙うのも、真子がいじめに気がつかない理由の1つであろうが、やはり真子の天然さが一番の理由と言えるだろう。
シンゴが聞き流していると、真子が担任と談笑しながら教室に向かってくる様子が見えた。
小悪党3人組は、小悪党ゆえに磨かれたスキルを用い、いち早くそれに気づき、席に着いた。
担任が教室に入って来て、なんとなく教室のおかしな雰囲気に気付きながらもいつも通り注意事項だけを伝えて去って行った。
ホームルームが終わったので、真子や小悪党3人組に話しかけられる前に夢の世界へと旅立つシンゴであった。
4限目の終業のチャイムでシンゴは目を覚ました。
授業が終わってしばらくしたようで、学食組は既に教室を出ており、お弁当組だけが教室に残っていた。
その時、シンゴの周りに真子がやってきて
「シンゴ、一緒にお弁当食べよ?」
シンゴはいつも通り話しかけてくる真子を見ながら、この後のいつもの展開を思い、憂鬱な気分になった。
いつも通り真子と話しているといつも通り真子の友達であり、シンゴとも真子の次によく話すクラスメイトであるくらいには仲が良く、真子と並んでシンゴが通う高校で二大美女と言われている中川凛と、凛の幼馴染であり、いかにもモテ男というようなイケメン顔で歯が浮くようなセリフもさらっと言ってのけるのは名前もキラキラな天堂晴輝である。そして、凛のもう1人の幼馴染で、晴輝には劣るがイケメンなのだが、モテないのは脳筋のせいである桶川豹である。
学校の二大美女とモテ男、そして脳筋のせいでモテないが面白さで人気の桶川、そんな4人に囲まれて、クラス中のいやぁな視線を一気に集めてしまうシンゴ。
いつも通りの展開なので、いつも通りうまくかわそうとしたが、ここでいつもとは違うことが起きた。
シンゴ達の教室の足元、正確には晴輝の足元から広がった光る大きな幾何学模様が現れたからだ。
あまりに非現実的な光景に、しばらく動けずにいたシンゴ達だが、しばらくして叫びだす者や逃げようとする者が現れた。
その騒ぎを聞きつけ、教室に数学の先生、るぅちゃんこと瑠璃川歌が入って来たところで光る幾何学模様は教室内の1人も逃すことなく光に包み、消えていった。
光が消えた後、教室には食べかけの弁当や蹴り倒された椅子のみが残されていた。