プロローグ1
目を開け、枕の横にある目覚まし時計の音を消す。2度寝の準備をして主人公、龍野シンゴは布団を深くかぶった。
しかし直後、長年の2度寝で身につけた勘が二階にあるシンゴの部屋へ近づく気配を捉えた。
逃げようと窓のドアを開けるが、少し遅かった。
「朝だよー、もちろん今日も学校行くよね?ね?」
大きな声で高2女子とは思えないほどの威圧感を出しながらも笑顔で尋ねてくるのは、シンゴの幼馴染である藤崎真子である。
彼女は学校1の美少女で成績も優秀、そして2人は同じクラスで、休み時間にもよく話しかけてくる程に仲が良い。
だが一方、シンゴの見た目はというと、高2男子の平均身長より10センチ程低く、足や顔は痩せればカッコいいだろうが、ぽっちゃり体型なシンゴでは全て台無し。
つまり、その2人が仲良く、教室の中で話していたり、2人で登下校などしていると、男子達からの目がシンゴに刺さり、中には真子に気づかれぬよう、いじめる者もいた。
そのため、現在シンゴは不登校になりがちである。
完全不登校にならないのは、真子がいつもシンゴを連れて行くからである。
「今日も一緒に学校行こう!スマホ、返して欲しかったら一緒に行こう?」
昨日は部屋に置いてあったノートパソコンを持っていかれた為隠していたのだが、今日は、学校のカバンとスマホを取って行ってしまった。
「は⁉︎ちょ、待った!」
スマホをとられ、大慌てで準備するシンゴ、まぁ彼が元来優しい性格で彼をいじめる者以外、特に幼馴染である真子には優しいので、仕方ないかというふうに、今日も学校に行くシンゴであった。