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若葉と一進  作者:
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第七話

若の家は、他の家より大きめで和風な雰囲気だった。

確かにこの大きさなら友達二人くらい泊められそうだ。


「ささ、入るのじゃ。親には二人のことは言うておる。気兼ねなく過ごすがよい」

「「お邪魔しまーす」」


家に入ってまず驚いたが玄関が広い。

外観からして予想はついていたが、その予想を超えてくる広さだ。

結構奥まで廊下が続いている。


「若ってもしかして結構お嬢様なのか?」

「んむ?そんな事はないぞい。両親は普通の和菓子屋を営んでおるだけじゃ」

「和菓子屋?店の名前は?」

「〇〇屋というところじゃ」

「それこの前テレビで見たぞおい!割と有名店だぞ!?」

「む?そうなのか?あまり親は商いについてはわしに話してくれんのじゃ...」


と、そんな若と莉乃の会話を袖で聞いている。

そうか、和菓子屋を営んでいるならこの和風な家も納得が行く。


「わしの部屋はここじゃよ。好きにくつろぐがよい」


わお、TATAMI。

部屋広いなぁ。


「ひれぇなぁ。お、テレビある。いいなぁあたしの部屋テレビ無いんだよな」


なんて莉乃が愚痴ってた。

和風な部屋だが、ベッドがあった。多分若、布団がやだったんだろうなぁ。


「さてと、ではゲームでもするかや?」

「お、いいねぇ」

「やろうか」

「〇iiやろうぜ、〇ii」

「マ〇オパーティーでよいかや?」

「いいぜぃ」


そんなこんなでゲームをやってる最中、誰かが帰って来た音がした。


「む?母が帰って来たようじゃの」

「お、挨拶すっか?」

「そうだね、今日泊めてもらうわけだし」


一旦ゲームを中断し、三人でリビングへと向かう。

リビングでは若の母親が買って来たであろう惣菜やらを冷蔵庫にいれている最中だった。


「母よ」

「ん?あら、もしかして若葉のお友達〜?」


物腰柔らかく、優しい笑顔の母親だった。

しかもえらく美人だ。若は母親似なんだな。


「母よ。わしの友達で男の子の方が、柊 一進。女の子の方が、関谷 莉乃。二人とも大事な友達じゃよ」

「あらあらまぁまぁ〜、ありがとうね〜うちの子と仲良くしてくれて〜。若葉の母の藍子(あいこ)です〜」

「いえ、こちらこそいつもお世話になっております」


俺は丁寧に答えたが、莉乃は若干の人見知りを拗らせて、ペコっとお辞儀をするだけ。挨拶するって言ったのお前だろうに。


「今日は泊まって行くんでしょ?ゆっくりしてってね〜?ご飯できたら呼ぶから〜」

「「ありがとうございます」」

「では戻ろうかの」


と言って、また若の部屋へ戻る。


「お母さん随分美人じゃねぇか」

「そうかや?」

「俺も思った。若はお母さん似だね。お父さんの顔まだ見てないけど」

「テキトーな事言うでない」


他愛ない話をしていると、もう夜が更けて、十九時になっていた。


「三人とも〜ご飯よ〜」


若の母親がリビングから呼んでくれた。


「では行くかの」

「ん」

「飯だー!」

「騒ぐな莉乃」


だいぶお腹空いてたんだなぁ。買ってきたお菓子食えば良かったのに。


「今日は張り切って、パエリアを作ってみたの〜」

「お〜やるではないか母よ」

「でしょ〜?母頑張った〜」


悉く、この家の景観をぶっ壊す家族ですこと。畳にベッド、和風の家にスペイン料理、もうどうにかなっちまいそうだよ。

まぁ気にせず夕飯を食べる。

確かにご飯は美味しい、きっと料理の幅は広いのだろう。

歓談をしながら食べていると仕事から帰ってきた若の父親が帰ってきた。


「…?」

「あ、お邪魔してます」

「ども」

「あ、あなた〜おかえりなさ〜い」

「父よ、おかえり」


全員で挨拶。少し悩んだようだがすぐ状況を理解したのだろう、そそくさと自分の部屋へ戻り着替えて戻ってきた。

無口な人なのだろうか?


「若葉の父の竜司(りゅうじ)です。この度はよくお越し下さいました」

「あ、いえ」


なんか、固い人だな。

こっちまで固くなる。


「ごめんなさいね〜この人緊張してるのよ〜。家に他人が来る事があまり無いから」

「そうなんですか」

「ゆっくりしていって下さい」

「はい…」


若の父親は先に風呂に入るみたいで、夕飯は一緒に食べないらしい。


「「「ごちそうさまでした」」」


全員が食べ終わった。


「美味しかった」

「な、また食いてぇな」

「気に入ってくれたようじゃぞ?母よ」

「うふふ〜」


嬉しそうに若の母親が笑う。

こういうところも若は母親に似ているんだな。

そこに、若の父親が風呂から上がってきて、ご飯を食べ始めた。


「藍子、今日の夕飯はパエリアなのか?」

「はい、今日は頑張ったんですよ〜?」

「まぁうまくできているんじゃないか?」

「ほんとですか〜?うふふ〜」


そう言って、明美さんの頭を撫でる。

イチャイチャしだしたので、若の部屋に帰る。

いつもあんななのだろうか。


「さて、風呂は誰から入る?」

「一進お前から入れよ。お前なんか臭いし」

「え?え?え?」

「安心せい臭くはない。莉乃なりの気遣いじゃろ?」

「ちっ」

「びっくりした。じゃあお先に頂きます」



とりあえず俺が三人の中の一番風呂を頂くことになった。



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