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清明様の憂鬱ネット小説大賞六   作者: @のはらきつね
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逢魔が時の猫⑥

  それから葛の葉たちがわらわらやってきた

 

「 よくぞ決心なさいました」 葛の葉が涙ぐんで言う

 

「もう一つお願いがございます」


「なんだね」 


「あの子が狙われてると申しましたでしょう 私たちは極力見張っておりますがそれでも心配で 


それでですね 、まあいろいろ相談しましていざというときだけ先生の力を戻したいと思いまして・・」


「私の力って前世のかね」

 

「もちろんです でも生活にはさしさわりはございません」


葛の葉は言った。


挿絵(By みてみん)


「まあほんとに非常時な時ですけど・・・・」


言いながらクルクルと指を動かした


「あの子を本当に助けたいと思ったとき、あなたが使っていた刀と、昔の能力が出てきます、手を前に


出して」


 言われたとおりに手を出した」ずしっと手が重くなったと思ったら刀があった。

 

感触に覚えがあった。


  しばらくするとパッと消えた


「あいつらを切るのかい?」

 

「もちろん」葛の葉はにっこり笑った

 

「あれは人間ではありませんし、この世にとどまっていること自体がおかしいのです、切ってやれば本来


のところに戻るのです 絶対的に正しい処置です、遠慮はいりません」 


「昼間は外科医で、夜は人きりかい?」 なにかすっきりしない気持ちでいうと

  

「なーにをおっしゃいます」葛の葉がころころ笑った。


「やってることは同じですよ、人助けです、人きりなんてね変な呼び方をする必要はありません


その時の価値観や常識なんて状況でパッと変わります、あの子を助けてあげてください」


 「ああそれはわかる」 


  葛の葉の理屈もわかるがあの子が掴まればどんなめにあうかそっちのイメージ


は受け入れやすかった


  「この家は、結界がはってあるから安全です、あと見張りも付けますから・・・・」


「見張り?」 


「お気になさるようなものではございません 人間とは違ってほかのことは気にしませんから」


 隣から「お支度が出来ました」と声がして「さあ、ごはんにいたしましょ」葛の葉が立ち上がった 


「おはようせんせいおはよう」 起きると何か変な音がした


その音のほうに行くと水槽に大きな金魚が二匹いて丸い目がこっちをみた

 

「お姉ちゃんおはよう」コマちゃんが言って餌を入れると笑ったように見えた


 それからも葛の葉達はよく来る


 来るとすぐにわかる、水槽がからっぽになっていて、オレンジと黄色の縮緬を着た中蘭と玉蘭が迎えて


くれる。

 

葛の葉が作った料理をみんなで食べて、それから映画をみる。


 朱雀は、歩きながら聞けるんですよと言って小さなアイポットをくれた


仕事の帰りに何が入っているのかとおそるおそる聞いてみると以外にも、フィガロの結婚とか


真夏の夜の夢なんかが入っていた。

 

 それを聞きながら歩くと何か映画の中にいるよう感じられた


通りには人が溢れなぜだかそれが嬉しかった

 

行きかう人の顔や髪型に見とれ、ビルや電車や車 すべてが嬉しく美しく感じられた

 

張り切って歩きスーパーの前に整然と積まれた果物の端正な並べ方に感心してみんなのために林檎を袋


いっぱい買って帰った。

 


 気になっているのは、あの落ち武者たちの存在だが、まだ現れない


「先生を警戒しているのですよ」葛の葉が言う

 

「その能力はすぐ使えるし今はもっと強いんです」

 

「それは周りの協力だろう?」と返すと


「それも、ありますがね」葛の葉が外で細く流れ始めた虫の音を聞きながら言った

 

「エクソシストってあるでしょう あの逆・・・・・」


葛の葉が自分を見ていった

 

「天使が取り付いたのですよ」


  でもこの子は大きくならないとなると自分だけが年を取っていくのはおかしくはないか


と思ってコマちゃんに聞いてみた。


「それは大丈夫だよ」 コマちゃんはいとも簡単に言った


「魔術でもごまかせるしそれにね、僕が急に大人になるかもしれないし・・・・」


 「そんなことがあるのかい?」思わず聞きかえすと


「だって急に成長が止まったんだよ、逆もあるでしょう」言いながら


今読んでいるという本を見せてくれた。


 レイ・ブラッドベリと言う作家のたんぽぱのお酒と言う本だったが、主人公はアメリカの退屈な


田舎町に住んでいる空想好きの少年で、ある日商店の古びたマネキンの指の間に挟まれた紙を見つける


 こっそり中を覗いて見ると ヘルプと書いてあった


その日から、何とかしようと少年は思う 


「それでどうなったんだい」聞くと


「 どうにもなんないんだ、周りは信じてくれないし、でもいつかね その薄暗い店からすごく綺麗な女


の人が出てくるんだ とても嬉しそうに笑いながら、それでね町を出ていく、まだそこまでしか読んでな


いけど・・・」


 「へぇ、歯は磨いた?」


「いけない」コマちゃんはパタパタ走って行った


集中して耳のからますっぐに手を伸ばした


ずしっと重みが加わって刀が現れた


  あれからたまに試している いつ敵が現れてもいいように・・・・


たぶん戦えるとも思う、その刀は手になじんでいた


手を引くとパッと消えた 。 


そのまま布団に入って考えた。


 コマちゃんが横に滑り込んできた 


「電気消すよ、おやすみなさい先生 またあしたね」と言って笑った。


「すこし考えたんだが どこか違う場所に行って暮らしてみようか?」


 「へっ」 コマちゃんが言った。


  「だって病院は?」


「病院は、どこにでもあるし 思い切って外国に行ってもいいかな」


 今まで質素な生活をしてきたおかげで貯金はたっぷりあった。


「外国 ガイコクウウ」 コマちゃんが大声を出した


 「まだ、先の話だよ、興奮しない」


「うん」 と言ったが嬉しかったのか自分のシャツにしがみついた


 そうだ アメリカは移民の国だし似てない親子はいくらでもいる、ヨーロッパでもいい


パスポートの問題があるが何とかなるだろう


 そして大きくなったこの子を想像してみた。


 きっと、王子のような青年になるだろう


 そして堂々と光の中を歩いていく


 それから似蔵の胸の中で雲が静かに晴れて、穏やかな太陽が対比的に固定されその太陽が輝きを


欲しいままに放つ情景が浮かんだ


 それは 死ぬほどにすがすがしかった。


 

それに自分が年を取って死んでもまた会えるだろう なにせ前世からの因縁なのだから


そう思うと、安心でき コマちゃんのすうすうと言う規則正しい寝息を聞きながら眠った。


         逢魔が時の猫 完 




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