清明様の憂鬱 水辺の夢をこの頃見ない ㊿
そこにあったのは光の洪水だった
あらゆる色に輝くまばゆいばかりの光の海
その時胸の中で何かの栓が抜かれシュウシュウ泡立つと同時にさっきせき込んだ時に出てきたぎやまん
が光っているのがわかって慌てて取り出し包んでいた
ハンカチを開くとキラキラ光りながらそれは空気に溶けて空高く昇って言った
蔵の中で一生懸命磨いた小さなガラス
もっと光るまでもっと光るまでと何度も何度も自分は子供で
時代も子供で周りも何もかもが子供だった
今 小さなグラスはこんなに大きな光の海になった
これは自分の海だ 水のない光の海 あらゆる色と形 大胆でそして美しい
「なんだこれは」青龍のつぶやきが聞こえた
光が体の中までしみ込んでくるような気がしてそしてそれが何もかも帳消しにしてそれから
蘇生し新しくしてくれるような気がした
「青龍 わしものすごく前向きになってる」思わず言うと
「俺もだ」と青龍が言った
二人とも呆然としていたが胸の中はさっきより泡立っていた
「ぎゃあ エッフェル塔みたいなのがある」
「ピラミッドみたいのもあるぞ」
「ジェットコースターもあるー」
この気持ちがあれば生きているだけでもその価値は十分あるがもっと重要なのは
これがただの光ではなくこの下にあらゆるものがある
様々な人生
いとおしく懐かしい人にもつながっているかも・・・・・
でも今は考えるのはやめようしばらく泡立っていたい
「お前 どこ泊まるんだどこ」急下降しながら青龍が言った
「あれあれ水出てるとこ」 高い噴水が色を変えながら踊るように吹きあがっている
「シャンパンじゃ シャンパンを抜くぞ 青龍」
「あたりまえだ タキシード買ってくれ」
「ああ買ってやる キラキラのついたやつじゃ」
「美川憲一みたいなやつか?」
「そうじゃ わしもドレス買うぞ」
「できるだけ派手なのにしろ」
「小林幸子みたいなやつじゃな?」
「いや、それじゃ歩けないだろう とにかくシャンパンだ」
「 そうじゃ 苺とシャンパンなんじゃ そいからさーろいんなんじゃ」
どれだけははしゃいでもかまわないと思ったら笑いが止まらなくなった
二人はぎゃあぎゃあおおさわぎしながら光の海の中に降りて行った
長いことありがとうございました<m(__)m>
キッシーがなんでそうなったかとかすましの戦いとか清明様の容態とかはまたべつの機会に(*^▽^*)




