清明様の憂鬱 水戸の夢をこの頃見ない ㉚
朱雀が頭を低くして素早く突っ込んできて銃口を握りグイっとつかんで上に向けた
「銃口を人に向けるな」と大人の口調で言った
葛葉はまだにこたらにこたら笑いながら
「久しぶりじゃなぁ 今日は大人なのか 脳なし ちちなし 鳥頭 」
「戦闘の時は治る それからお前どさくさにまぎれてものすごい暴言をはいたな
壊滅状態 黒イソギンチャクふじつぼ付き毒ぎつね」
「え、わしふじつぼついてんの? レベルあがってねえ? きゃははははは ポチョムキン」
「ポチョムキンってなんだ」
「なんか浮かんだおぼろげな記憶だ確か偉い人だったかな」
「それよりさ 朱雀真面目な予言をしてやる」葛葉が急に真面目な顔になって朱雀の肩を両手で握って
言った
「なあ お前はこれからこれ以上愛してもらえることはないよ
お前は誰かを今以上に誰かを愛するかもしれんが今以上愛してもらえることはないよ
だからさ まあこれからいろんな困難があるかしれんが・・・・」
言いかけたとき 「困難ならもうあるぞ」と言って朱雀が割れた食器の下で京都の大文字焼きを思わ
せる姿勢で倒れて動かない白虎を指さした
「ああ大変じゃ」葛葉が叫んで体中のお皿をどけた
術をつかわなかったのはまだ使えるものがあるかもしれないと思ったからだ
額から血が出ていたので血止めの気を送った
「あ なんか はみ出てるぞ」珍しくトランクスをはいたはじからナマコがこんにちわ
だったので二人でシャッターを切った
「お前 やきもちとかないの」葛葉が聞くと
「これは白虎殿じゃない テキサス野郎のものだ」朱雀はいたって冷静に言った
「裏側もとったほうがいいんじゃないか」ひとしきり写真を撮ると
「じゃ出かけてくるから あとよろしく」葛の葉が言った
「あとよろしくってどうすればいいんだ?」
「そおねぇ」 マシンガンに弾を装填しながら葛の葉が考え込んだ
「青龍は金星になったことだし銀色にしてあげれば写真とっといて後で合成するから」
「それはいいな 地下にペンキあったな」
「なんでそんなもんばっかり充実してんのよ じゃあ」葛葉が出て行ったあと
朱雀は白虎を半分おぶって半分引きずりながら
「きーらきーらひーかる」と歌いながら地下に向かって歩いた
途中で固まり始めた清明が
「朱雀はやくスプレーをもってきてくれ何とかしてくれ」と言ったが
朱雀は子供の顔に戻ってきょとんとした顔をして立ち止まったが
「おーそらのほしよー」と歌いながら行ってしまった
だが 去り際に一瞬にやりとしたのを清明は見逃さなかった
(わざとだ)と気づいて怒りに震えたがどうにもならなかった
すまし汁がプルプル震えただけだった




