清明様の憂鬱 第三章 ⑤
いつの間にか間にか夜になっている。
みんなの意識も屋敷の中も外も夜である
手が痛い
頭がぼんやりして 麻酔のようなことになっているらしいが 痛いということは 相当痛い
後ろを見ると白虎が流しによっかかってだらしなく着物をはだけて眠っている
そのまえにかがんでいる朱雀が振り返って行った
「気が付きましたか」 いつもの平坦な声で言った
白虎が意識を取り戻し「何ですか」と言いながらパッと縄を払った
朱雀は小さく舌打ちして 飛び下がって 自分のスマホを出し「動かないで」と言った。
なにがなにやらわからず ボー然としている二人に 宣告するようにいった。
「今年も願書が出せませんでしたよ それから あの私の大好きな 宝塚の名作黒蜥蜴を、黒ナマコなど
と歌っていた のが聞こえました
まったく 本来なら人間の形なくなるまで切り刻みたいところですが
人道的処理を取りましょう
ナマコにはナマコ あなたの黒ナマコ写真を撮りました
嘘だと思ったらこれ 朱雀は写真を拡大して見せた 確かにあなたの持ち物ですよね」
白虎が蒼白になってうなずいた
部屋は暗い 暗い中でスマホの画面だけが光り輝いている 薄明かりの中何か異物が輝いていた
それでも白虎は十分に悟ったようで 、蒼白になった 暗いのに蒼白なので よほど蒼白なのだろう
「お前 そんなことしてどうするんじゃ」
「安心してください 私はこんなもので興奮したりしませんよ、でもね 蛇のみちは蛇にょろり
2丁目にいっせい送信します」
「どこが人道的ですか?」
白虎がますます白くなって言った。
このようにして人は真っ白な灰になるのだろう
「それから そこの 黒狐」朱雀が怒鳴った。
いつの間にか意識を取り戻した 葛の葉が そろりそろりと逃げようとしていた
「私のは もう原形とどめてないしねえ」葛の葉が作り笑いしながら言った。
「誰が お前の極限状態のイソギンチャクなんか取るか
もっとひどいのはお前の中身の成分は80%が企みで出来てるだろうがだから 動くな」
「お前こそ正気なのか?」 清明が言った。
「たぶん正気ではないでしょう しかし私はただ 切れて開き直っているわけではありません
れっきとした覚悟をもって切れて開き直っています。
だって30年ですよ
30年頼んで話さえ聞いてくださらなかった 恨み募って30年 しゅうううう ぽん」
「でも わしは関係ないでしょう」白虎が半泣きで言った。
「相対性理論 しゅうううううう ぽぽぽん」
朱雀は脳より口が先に動いているようで意味不明なうめき声とともに言った。
「相対性理論(そうたいせいりろん, 独: Relativitätstheorie)または相対論(英: theory of
relativity)は1905年に発表された特殊相対性理論と1916年に発表された一般相対性理論の総称であり古典物理学の一つ。
両者はいずれもアルベルト・アインシュタインの創始した理論で、互いに、等速運動する座標系の間では物理学の法則が不変な形を保つという原理(相対性原理)と、光速度不変の原理を仮定したときの物体の運動を記述する。前者は慣性系についてのみ記述し、後者は加速運動する系や重力場の効果を含めて一般化した理論である
↑ (この辺は読まなくていいです)
「つまり光より速いものない この 前提から アインシュタインが考え付いたわけですが
私は光より速いものがあると証明したくなりました
ナマコの画像がお好きな人の間に広がる速度です
外国にも送信しておきますよ、 恨むのなら 清明様を恨んでください アディオス セニョール」
そして 送信ボタンを 押そうとしたその時、その時清明が転がって朱雀の脚にぶつかり
一旬の隙ができた。
そしてその機会に白虎が生存本能の全てをかけて右足を蹴りだし、その巨体を空中に躍らせた
そして全盛期のマイケルジョーダンや 奇跡の世代と言われる者たち誰もがうらやむほどの素晴らしい
跳躍を見せ 朱雀の高くあげた手から スマホを叩き落とし、そのまま廊下まで飛んだ
スマホは はるか 彼方まで飛んで、 朱雀は 一瞬唖然としたが情勢が自分の不利に傾いたと
悟ると光の速さに勝るとも劣らない、 敏捷さを発揮して 清明を持ち上げ今まさにスマホを取ろうとし
ている
白虎に向かって叫びながら投げつけた
「させるかああ」
白虎は振り返って 手足を縛られた清明がピンと伸びて一本の矢のように 一筋の光のよ
うに自分に向かって 飛んでくるのを見た
今日の災難を今を逃したらこじれにこじれ伝説やわかる人にはわかる芸術品 R指定映画 実用品
コレクション、何に変換されるかわからない災難を乗り切れると言っているように両手が前に出た
そして二人はもつれあい絡まったままゴロゴロ転がってから白虎が弾かれたように飛び起きた。