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ラストヒーロー二堂烈火

「さて、志堂くん、まずは君の治療をしましょうか。これ以上血で床よ汚されても困るし、」

「ういっす、お願いしまっ!!」

勇騎がきららに近づいていくと、きららは重症の勇騎にボディーブローを食らわし、体を宙に浮かせ、そのままベッドに投げ捨てる。

「ちょっと!何してるんですか!」

「慌てないの、魔力を注入しただけだから、口移しもあるけど、初対面でそれはね、だからボディの経絡に叩き込んだだけ、大丈夫、痛いのは一瞬だけ、あとは魔力を利用して自然治癒力が活発化するから、骨折でも5分もすれば治るわよ。」

「で、でも、結構痛いっすこれ。」

「それはそうよ、若干それ以外の目的で殴ったから、口は災いのもと分かった?」

「うっす、勉強になります。」

きららは怯える翔真を椅子に座らせ、現在治療中で痛みに苦しむ勇騎を血まみれのシーツごと床に引きずり下ろすと、まずは何より、自分の正体を誰にも言わないことを誓わせる。

この間の合コンで他校のイケメン先生とお近づきになれたのに、魔法少女だった経歴がばれるとご破産にもなりかねない。もし破った場合は、魔力を注入して内蔵を破裂させた後に治療しながら、時間をかけて最低十回は殺すとのことだ。

翔真は二つ返事で了解し、勇騎は、チクリは卑怯者のやることと了解する。

「ところで天城先生はなんでこっちに?師匠の話だとトラブルを避けるためにもヒーローは全部、九州に集まったって聞きましたけど。今だにやっている人ほとんどいませんけど」

「だって私ずっと前からヒーローじゃないもの、私はやりすぎてヒーローから破門にされたの、血の雨を降らせすぎるって、別にいいじゃない、結果が変わらなければ、爆発じゃ、脳がないでしょ、まぁ、もともと私は正義とかそんなのどうでもいい人だから。」

「じゃあ、なんで」

「面白そうだったから、私、男殴るの好きなのよね。」

「一番力をもっちゃいけない人だ。」

「それもよく言われた、ところで、志堂君、さっき殴ったので確信したけど、キミヒーローの力全く持ってないわね。なんでヒーロー見習いなわけ?」

「師匠との約束でこっちにいるときは力を使わないようにしてるんです、破れば破門っす。」

そう言って勇騎は髪をめくり頭の紋章を見せる。それは力を使えば消える封印術の一種だ。

「自分の命の危機以外で力を使えば、これが消えて強制送還です。」

「命の危険って、さっき兜君たちやられたんじゃ?」

「あーあんなの危険でも何でもないよ。師匠の打撃に比べれば、まぁ、変身した上に電気を纏うのは予想外だったけど、角をへし折ってやったし、痛み分けだね。」

「よくもまぁ、生身の人間でよくやるわね。普通死んでもでもおかしくないわよ。」

「まぁ、日頃の鍛錬と何より経験が違います、こっちは師匠との命懸けの修行をしてますから、癖を見つけ、弱点を見極めれば、力に溺れるだけの相手に負けはしません。」

そんな馬鹿な兜の最強の必殺技を食らったのにいや、それ以前に兜相手に引き分け?

「あー、ひょっとして志堂くんの師匠って、ひょっとして烈火くん」

「あの、烈火って、もしかして」

「知らない?二堂烈火、大首領を倒した人だよ。」

「い、嫌そうじゃなくて、その人なら知っていますが、その人は死んだのでは?」

近代史で出てくる最後の事件、それがこの17年前の大首領と二堂烈火との戦いだ。

大首領が次々の数多の犠牲の中に、正義を追い詰めることに成功し、1年の平穏を得て、最終決戦をラストヒーローと呼ばれた二堂烈火を行った。熾烈極まりない戦いは3日3晩続き、死闘の果てに二堂烈火を倒すことに成功し、残るヒーローも修羅の国に結界を張り封じ込めることに成功した。だが、その代償として大首領は命を落としたとされている。

「え、今そういうふうに教えてるの?ごめん、私、昔海外とか旅してたせいで、この国の歴史に疎いのよ。一応、教科書くらいは読んでた方がいいかな」

「師匠は死んでないよ、それどころか、その時の戦いの時よりも数千倍は強くなっているはずだよ。炎を燃やす炎を操り、闇を塗りつぶす閃光さえも従え、不老不死にして、倒した相手は跡形もないどころか、人の記憶からも歴史から消える、そのキックは空を裂き、そのパンチは次元をも破壊する。絶対無敵の!絶対正義!それが俺の師匠二堂烈火です。」

「烈火君元気?」

「バリバリ元気っす。この間とかとうとう因果律を認識して物理法則さえも歪めることにも成功しました。それにちょっと前にも大型台風が来てたんで、手のひら一つで消してました。」

「あぁ、この間のあれね。あの台風魔力含んでたから厄災なのに自然消滅してから不思議だったのよね。なるほどそういうこと、ほんと手をつけられなくなってるわね。」

何の話をしているんだ、二堂烈火が生きている、それは絶対に聞いてはいけないことのはずだ。きららの言うとおり、関わらなければ良かった。

「ところで、天城先生、ずっと師匠を君呼ばわりということは結構年上ですか?」

「……な、何を言っているの、私は見たとおり、24よ。」

「え、それにさっき魔力注入してから、口元にほうれい線が」

その言葉に保健室の空気が歪み、あたりに黒い魔力が満ち満ちる。

「一番知ってはいけない秘密を知ったわね、」

逃げる場所を失った。翔真は心底後悔するが、時すでに遅し、結局このことが原因で翔真は勇騎の学校生活での指導役に任命されることになる。

最悪な出来事、だた唯一の救いはもう一人の指導役に伊万里さやかが任命されたことだ。


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