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和解

「俺を疑うとはな、流石の俺も癪に障るな。俺に疑う余地があったとみなされる時点でな」

虎城は怒りに満ちた目で翔真を睨む。普通であればたじろいだであろうが、今はさやかのことで頭がいっぱいだ。言葉遣いにも相手に考慮する余裕もない。

「可能性を提示しただけです。」

「貴様、」

「落ち着け、虎城。今の彼は冷静ではないだけだ。月影大臣。私たち生徒会は昨夜のアリバイはお互いに取れています。それにこの事を聞いて以降。すぐに皆の所在を確認し、それ以降はともに行動しています。」

「生徒会ぐるみの犯行という可能性も考えられます。僕は納得できません。」

「それは君が納得いかないだけの話だ。アリバイはあとから検証するとしても、ここにこうしてあらわれている以上、私はその可能性は薄いと考えるな。念のために君たちの携帯の履歴の確認、部屋の捜索をしてもかまわないか」

「えぇ、問題ありませんよ。むしろ僕たちだけではなく、彼らの部屋もご随意に、」

月影が翔真たちも含め全員の携帯を回収する中、獅子王は敵意を向ける翔真に近づく。

「雲野君、志堂君、僕への恨みはあるだろうが、今は何よりさやかの無事を確認することが最優先だ。疑うなら好きなだけ疑ってくれ、だが、この学園を預かる者として、お願いだ。今は協力してくれないか、」

そういって獅子王は深々と頭を下げる

「会長!このようなものに!」

「何の問題がある、プライドか面子か?そんなものが何だ。僕は彼女が無事でいてくれればそれでいい。もうこれ以上、この学園の生徒で犠牲者を出したくはない。」

「翔真君。」

勇騎の言いたい頃はその表情で理解できた。

「……わかりました。信じます。獅子王会長どうかさやかさんを見つけるのを手伝ってください。お願いします」

「あぁ、もちろんだ。生徒会諸君!今私たちの誇りを、優秀さを示す時だ!

なんとしても、彼女を探し出す!彼女を救うために皆の力を貸してくれ」

「はっ!」

「聞いたか!いいか!この学園であるまじき惨劇が起きた!われらの誇りにかけてなんとしても彼女を無事助け出せ!そして犯人を決して許すな!八つ裂きにしろ」

虎城が怪人の姿となり咆哮を上げる。それはもはや衝撃となり皆の肌をひりつかせ、皆が怪人の姿となり、散っていく。

「これが、生徒会、」

そのあまりの威圧に頭に登り切った翔真の血の気が引いていく。

少しなりにも兜に勝ち、ここまでの努力が自信となり、少なからず、強いと分かっていた彼らにだって勝てるチャンスがあると思っていた。だが、その咆哮一つでその気持ちは揺らいでいる。

「獅子王会長!」

そんな中、獅子王に勇騎か駆け寄り手を差し出す。

「何だい?どうかしたのかい」

「いえ、力を貸してくれてありがとうございます。俺も翔真君も別に会長の敵のつもりはありません。だからこれは仲直りの握手です。」

満面の笑顔、それは勇騎の本心だ。

獅子王は目線を月影に移しこちらを見ていると察すると、それに応えた。

「一緒にさやかを見つけ出そう。とりあえず、僕と龍千寺は皆の指示のため生徒会室に待機している。何かあったら言ってくれ、僕からすぐに生徒会のみんなへ連絡する。」


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