復活の王者
「伊万里さん。どうして君はここに?」
「はい?」
「ど、どうしてこの学校にいるのかなって、君は怪人じゃない、いや本来であればあんな野蛮な奴らと一緒にいるべきじゃない。なのに、君はどうしてここにいるんだい。」
「私にはなりたいものがあるんです。その為にここは一番の近道です。それに家族にも楽をさせてあげたい、ここなら学費も、生活費も国庫で賄ってもらえますし、」
「君は、やっぱりすごいな。だからこそだ。君はやっぱりこんな世界にいるべきじゃない。」
「先生?」
「怪人なんてものがいるから、こんなに不平等で、不条理で、僕や君みたいないい人間が損をする世界になってしまうんだ。怪人なんかがいるから、あいつらなんか滅んでしまえばいいんだ。だいたい……」
しばらく、黙って聞いていたさやかであったが、佐野の自分の教え子たちを否定する言葉に、さやかの我慢も限界に近かった。
「何でもかんでも怪人がいるからって、先生そういう言い方はよくありません。一概に怪人のせいにして否定しても、何にもなりませんよ。確かに中には兜君のような人もいます。でもそれは私たち人間でも同じことです。いなくなれば解決そういうことにはなりません。
昔この世界にはヒーローがいて、彼らがこの世界からいなくなることで平和になるはずだった、でもそうはならなかった。不満があるなら変えるべきです自分たちの力で、
私は教師という立場にありながらそういうことを言う先生を、尊敬できません。
クラスのみんなは怪人でも、悪人じゃありません。」
「君は、何を言っているんだ。そうか、雲野や他のやつらに毒されて
いいかい、君は間違っている。指導者として君を正しい道に戻す必要がある。
怪人はこの世界の毒だ。あいつらがいつまでものさばるから、私のような善人がいつだって報われない。暴力と権力だけで、すべてをねじ伏せて、兜はその象徴だ。人に迷惑をかけることしかできない。そうだ、雲野だって、今までおとなしくて『いい生徒』だったのに、怪人の力の使い方を覚えたらすぐにこれだ。怪人なんて所詮は、力に溺れた。」
「誰が滅べばいいって?」
その時だ、聞きなれた声、それは一瞬にして佐野の表情を恐怖で染めた。
兜だ。今まで同じ校内にいるとは聞いていたが、あれ以来さやかが会うのは初めてだ。
「兜君」
「よう、ビッチ、会長から雲野に乗り換えたそうだな。それで今度はこのもやしか」
「とりあえず、元気そうで安心したわ。でも、それだけよ。」
敵意むき出しで、兜に向かい合うと、兜の取り巻きが突っかかっていこうと前のめりになるがそれを兜が静止する。
「俺はもともとお前何ざに興味はねぇさ。人間風情にはな。それに約束だ。お前らには学校では手を出さない。次に出すことがあれば、お前らまとめて皆殺しだ。お前らには、な!」
そういって兜は視線を佐野に向ける
「ひ、ひぃ」
佐野は怯えプリントをぶちまける。




