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決闘!蜘蛛VS昆虫王

「なに?あの子が相手、可愛い子じゃない。」

アンリは突然現れた勇騎を興味津々に立ち上がり、下を覗き込む。

「このまま待っても勇騎くんは来ませんよ。このまま白けさせて、終わりにしますかそれとも、また日を改めますか。」

「会長!ダメてすよ!やめさせてください、お願いします。」

どうすべきか一考していた獅子王にさやかが懇願した。だからこそ、その言葉決定だった。

あらそういうことなのと、アンリは翔真とさやかの顔を行ったり来たりさせ、状況の理解に努める。そして、同時に獅子王がその作り笑顔の奥で何を考えているか理解した。

「ごめんね、さやか。そうしてあげたいのは山々だけど、生徒会長である僕が、伝統を破るわけには行かないんだ。それに彼にはその資格があり、やる気に満ちている。」

獅子王が翔真に改めて戦う意思があるかを尋ねると、翔真は即答する。

「だってさ、ほら、もう僕じゃどうしようもない。」

「ですが、お願いします。なんとか、」

「大丈夫だよ、さやかさん、俺が勝つから、それより会長。僕が勝てば、今回の戦いも、いつもの報酬はありますか?」

「報酬?」

「そうです。勝者には生徒会として出来る範囲のことをするということです。」

通常、その約束は生徒会への入会の許可とも言うべきものだ。

歴代生徒会長は2年次の決闘の勝者がつく。というより、才能が物を言う決闘では1年時から2年の3学期末まで勝者基本的に同じであり、歴代生徒会長はそういう経緯がある。

「生徒会長になりたいのかい?」

「そういうわけじゃありません。というより、僕には無理です。自分のことで精一杯、だからそうじゃなくて獅子王会長にしていただきたいことがある。」

「僕に?それはなんだい?いや、やめておこう、聞くだけ無駄だ。だから別にかまわないよ」

翔真は一礼をすると、上着を脱いで、準備運動を始める。

「さっきの言い方。恋夜は彼が負けると思っているの?」

「当たり前じゃないか、彼は変身することもできない怪人の劣等種。兜に敵う要素がない。」

「そうだったら、私は彼に賭けますわ。」

「は?」

「あなたの言った賭けですわ。あなたが勝てばお母様に、あなたが第一婚約者候補だと宣言してあげても宜しくてよ。」

「な、本気ですか?勝ち目が薄いじゃなくて、ないに等しい、それにこ婚約者を、」

「別に構いませんわ。私、男には興味ありませんから、所詮は形式だけの仮面の夫婦。あなたであろうとカイゼルであろうと、誰が相手でも変わりません。あなたの方が自らの立場を理解していますので、どちらかといえば都合はいいですし、」

「自分の勝ち目が薄いのに、万が一にでも僕が負けたらどんなものを要求されるのやら。」

「そうですわね。なにかあなたの大切なものを貰いましょうか、何にするかはその時のお楽しみで、何がいいから、ねぇ、さやかさんあなたは何がいいと思います。」

何を奪われるのか、不安で仕方がないが、いまさら後には引けない。

「兜!必ず勝てよ。」

「あ?本気で雲野とやるのかよ。死んでも知らねぇぞ」

「何の問題がある?それとも、手加減して負けるつもりか?」

「ふん、まぁ、いいだろう、雲野、お前を殺せば、志堂は本気になるか?」

「だろうね。ま、できればだけど、どう考えても無理だけど、」

「ざけんな!」


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