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嵐の昼に

「行っちゃいましたね。師匠」

「そうだな、」

「実家で悠々夏休み、いいな、そうだ、きらら師匠、なんか、明日の夜、この島のお祭りやるみたいなんですけど、遊びに行きませんか?」

「遊び?何を言っているんだ?」

「え、だから、」

「今までは翔真がいたから手加減してたんだ、ここからが本番だ。腑抜け野郎。」

勇騎は甘く見ていた。きららの厳しさ、いやドSぶりを、今まで烈火との生活で自分はこれ以上ないくらい厳しい生活を送っていたと思っていた、心についた贅肉をそぎ落とす。

次の日から、怪我をしても、魔力を叩きこまれ再生される無限ループ生活。

勇騎は寝ている間も音に敏感になり、強制的に烈火と過ごした日々の感覚を取り戻していた。

そして夏休み最終日。この島に大型の台風が来ていた。

「あぁ、、心配するな。まぁ、大丈夫だろ、天気予報でも夕方には抜けると言っているし

………え、あぁ、そっちの方か、予想以上の長期滞在になったけど、まぁ大丈夫だろ。それに負けたところで、退学で済むんだ、大した問題ないさ。

……大丈夫だって死にはしないさ、それくらいは丈夫になっている。

……勇騎かとりあえず今は寝てる。まぁ、この電話が終われば叩き起こすけどな、

……別にこれくらいの雨と風くらい問題じゃない。前日の休息?帰りの船のタコ部屋で寝れるからそれで十分だって、それより、翔真君は随分といい男になった様じゃないか。

……声を聞けば分かるさそれくらい。ちゃんと教えてもらえたんだな。あぁ、そうだな。

あぁ、それはお前次第だ。とにかくこっちの事は心配するな。大丈夫、獅子王たちもまたこっちにいるんだ、私たちが帰れないなら、獅子王たちも帰れないよ。

……あぁ、それじゃ、明日学校で。」

きららは携帯を切ると思わずゆるんだ口元を締め、ソファーで寝る勇騎を蹴って起こす

「な、何するんですか」

「油断する方が悪い、お前は本当に鈍いな。」

「近くにいる事は分かっていましたけど、敵意がないのに警戒しろって方が無理ですよ。」

「その時点で甘いと言っているんだ。さ、急いで準備しろ、」

「準備って?」

「決まっている特訓の締めは、師匠との本気のバトルと相場が決まっている。覚悟しろよ。」

「いやいやいや!外凄い雨と風ですよ!TVじゃ出ちゃダメだって。」

「それは民間人に対して、私たちは魔法少女とヒーロー、テンションあがるだろ。」

ダメだこの人は、きららがなぜヒーローをやめさせられたのか、今の勇騎は確信を持っている。この人は血を好み過ぎるし、何かにつけてやり過ぎだ。これ以上ないサディストだ。

「おい、勇騎、今失礼なこと考えただろ。」

「いえいえ、全然。」

「嘘をつけ、顔に出ている。まぁいい、覚悟しろよ。」

勇騎はきららに連れられ、いつもの浜辺の特訓場に連れてこられる。

「いい風だな、こんなに強ければ多少地形が変わっても台風のせいになるだろうな。」

「というか、波!駄目でしょここ!うわぷっ!」

「問題ない、波が来たら自分で何とかしろ、さて行くぞ」

きららは魔力で自分に覆いかぶさろうとする波を海ごと吹き飛ばすと、拳を構る。

そして激闘15分後、勇騎のボディに勇騎を轟沈させるパンチが決まる

「ま、それなりに持った方か、意識もある。これなら兜の攻撃を喰らっても、余裕で耐えられるだろ。とは言え、もらい過ぎるなよ」

拳に残る感触にきららは満足げだ。

「うっす。ありがとうございました。」

切れそうになる意識を何とか保ちながら勇騎は礼を言う。

「さて、そろそろ帰るか、本格的にまずそうだ。」

きららは勇騎を持ち上げると、軽々と岩場を登り、港に続く町道にでる。

雑な運ばれ方だが、自分で歩くよりはマシだ。だが、次の瞬間、勇騎は地面に捨てられる。

「な、何するんですか」

「立て、知り合いだ。」


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