表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/60

獅子王たちの夏休み

一方、勇気と別れた樹里は、見つからないように、別荘の裏口から静かに入ろうとする。

「遅かったね。どこかでサボっていたのかい」

「も、申し訳ありません。恋夜ぼっちゃま、少し道に迷いまして。」

「ぼっちゃまはやめてくれと何度も行っているんだけど、バカは覚えが悪くて困る。」

「申し訳ありません、恋夜様。」

「ここで獅子王は僕だけだよ。気軽に下の名前で呼ばないでくれるかな。」

「も、申し訳ありません、獅子王様。」

「うん、それでいい。同じ人間でも伊万里とはこうも出来が違うかね。」

「本当に申し訳ありません。」

「いいかい、身分が下の人間がいくら頭を下げて意味はない、それより頼んだミネラルウォーターは」

「はい、こちらに、」

樹里は買い物バックから2lのボトルを取り出す。

「それもういらないから、捨てといて。それと、今日はこのあと海いって、そのまま夜はみんなで外に食べに行くことになったからいらないよ。」

「……そうですか、分かりました」

必死に作り笑顔をする樹里を見て満足したのか、獅子王はその場を後にする。

そしてそれと入れ替わるように、心配したさやかが入ってくる。

「大丈夫?樹里さん」

「はい、大丈夫です。ご心配をおかけし、ありがとうございます。」

「ごめんなさい、さっきアンリさんからきつい事を言われたみたいで機嫌が悪くなって、」

「いいえ、遅れた私が悪いだけです。それより、伊万里様は折角の休日です。私のことなど気にせずに、楽しまれてください。こんな高級リゾート普通めったに来れませんよ。」

「でも、」

「本当に大丈夫ですから、明日の朝ごはんで名誉挽回です。」

明らかな強がり、獅子王が買い取ったこの別荘、獅子王が招いた彼の友人や、彼と親密になりたい同世代だけのこの別荘では、樹里へのあたりが明らかに強くなっている。

それは周りへのパフォーマンスでもあり、同時に彼の本来持つS気がこの開放的な状況でより強く出ている。それはさやかに対してもそうだが、樹里に対してはさやかから見ていても目に余る。だが、ここでこうして話していることがばれると余計に状況が悪くなる。

さやかは後ろ髪を引かれながら、海へと向かう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ