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――それから数百年の時が流れた。
身を呈して国を守った美しい女王は、"救国の戦女神"として、王家の神殿に祀られている。
その神殿の中心には、"知恵の冠"を被り、神の力を宿すという槍と弓を持ち、海の女神の愛し子である証に貝の上に立つ女王の肖像がある。
また、すぐそばにある王立博物館には、当時の武器や衣装が展示されていた。
「ここは、かの"戦女神"の妹・リアナ女王に関する展示です」
博物館の職員である青年が、観光客を案内していた。
見学者達は、興味深げに展示を見て回っている。
1人の少女が、中央に展示してある指輪に気付いた。
「わあ、綺麗」
宝石は一切付いていないが、美しく輝く銀の指輪に、彼女は魅了された。
側に来た青年が、解説する。
「これは、リアナ女王が生涯大事にしていた指輪です。内側に彫り込まれた言葉から、"戦女神"が贈った物だと考えられています」
「そうなんですか」
話している2人の側には、指輪の詳しい解説も表示されている。
そこには、指輪の内側に彫り込まれた文も載せられていた。
――私の愛しい妹へ
――あなたの行く手に光があらんことを
Fin