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戦女神  作者:
7/9

明るい日差しに目を細めた少女は、首に掛けていた鎖を外した。


その鎖に通してあったのは、姉に贈られた銀の指輪。彼女はこれまで指輪を嵌めず、ずっと首に掛けていた。


――戦が終わったらこの指輪を嵌めて。


「分かってる、約束は果たすわ」


指輪をそっと撫で、リアナは呟いた。


「酷いお姉様ね。妹の頼みを聞いてくれないんだから」


あの時、生きて還って欲しいと願ったリアナに、ディアナは困ったように微笑むだけで、とうとう頷いてはくれなかった。






指輪をそっと嵌めてみた少女は、違和感を感じた。


「…?」


指輪の内側が、一部感触が違う。引っ掛かるというほどのものではないが、傷があるようだった。


一度嵌めた指輪を外し、内側を覗くと、どうやら自然にできた傷ではなく、小さく彫られた文字のようであった。


「これって…」


リアナは、急に鼓動が速くなるのを感じながら、指輪を光にかざす。


その文字を読み取った時――、彼女は思わず息を止めた。


「…!」


もう一度、注意深く文字を読み直す。


「………、…あ」


本来は泣き虫なリアナは、姉を見送った後は一度も泣いていなかった。

だが、


「お姉、様…!」


涙が溢れる。


「…どうして」


あんなに願ったのに。――生きて欲しいと願ったのに。


「どうして、逝っちゃったのよ――!」


彼女はこの時、ようやく声を上げて泣いたのであった。

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