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戦女神  作者:
6/9

ウィルネにいた兵士が全て海に流され、大きな痛手を被ったファイスは、一気に不利な戦況になった。


ウィルネに大軍を送ってたことが徒となり、兵力は激しく落ちてしまった。


何よりも、想像を絶する女神の鉄槌は、全軍の士気を著しく下げた。


強大な軍隊とは言え、それを構成するのは人間。神に逆らい、怒りに触れたいと思う者など、いるわけがない。


結果として、ファイスの王は軍を小出しにしては各個撃破され、やがてどうにもならなくなり、とうとう降伏した。


ウィルネ王国とファイス王国は、条約を結び、開戦から約半年で戦は終結した。






よく晴れた午後、リアナは暇を見付けて塔の最上階に上がった。


「いい天気ね…」


国を守って命を落とした女王の妹は、城の塔から城下を見下ろし、顔を綻ばせた。


潮風に靡かせている長い髪には、小さな飾りが付いている。

だが、明日から彼女の頭を飾るのは、金とサファイアでできた由緒正しい冠である。


最初は姉の代わりに城を護り、その後は事実上の最高権力者として国を支えていた彼女は明日、正式に女王として即位する。


今日は、"女王の妹姫"でいられる、最後の日であった。

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