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戦女神  作者:
5/9

「うわあ!」


「助けてくれ!」


あちらこちらで悲鳴が上がる。


波は次々に押し寄せ、ファイスの兵士をことごとく攫っていく。いかな大軍と言えど、人知を超える力に打ち勝つことなどできるわけはなかった。


「海の女神が救ってくださった…」


ウィルネの兵士達は、呆然としていた。


不思議なことに、ウィルネの人間は全て、泡に包み込まれ、守られていた。


女王の祈りは聞き届けられ、海の女神が手を差し伸べたのである。


何人もの兵士が、この世のものとは思えない美貌の女性を見た。


兵士達が頭を下げると、女性――海の女神は、どこか哀しげに微笑む。


その微笑みの意味を彼等が理解する前に、女神は姿を消した。






やがて、波が引き、敵は全ていなくなっていた。


ウィルネ軍は歓声を上げた。だが、


「陛下がいらっしゃらないぞ!」


「陛下!ディアナ様!いずこにおわします!?」


波が引いた戦場から、女王もまた、姿を消していた。




女王がいた場所には、槍と弓矢に彼女の愛馬、そして、ウィルネの国主に代々受け継がれてきた、金とサファイアで作られた"知恵の冠"だけが残されている。


「なんということだ…」


「我等は陛下のお命と引き換えに生き延びたのか…」


女王はすでにどこにもいないと、皆が気付いていた。


――ディアナは、自分の命と引き換えに民を救って欲しいと願った。

海の女神は願いを聞き入れ、国を救った。

そして、約定通り、女王を連れていったのであった。

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