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あれ?選択肢を間違えましたか?  作者: 東のローラン
一章 前世を思い出した幼稚園児編
7/21

6話 ゴールしてしまいました……

「それでは宜しく頼む。」


「いえこちらこそ一之宮家と縁を結べるのは、喜ばしいですよ。」


「……宜しくお願い致します。」


「次郎君そんなに固く成らずとも、私の事は義父さんと呼んでもいいのだよ。」


 と笑いながら話しかけてくる三井さん、僕は三井さんみたいに笑えないですよ……もう混乱しすぎてどう応えて良いかも分からないよ……どうしてこうなった、あんなのがフラグなんて想像も出来なかった。


---


 事の始まりは、前回の決意から二週間後の日曜日。僕は朝食を食べながら今日は涼君とまた野球をしようと考えていた所、珍しく朝食を共にしていたお父様から、この後一緒に三井家に向かう旨を告げられた。母親同士が仲が良く、偶に会っていることは以前の情報収集の過程で知り得ていたが、何をしに家族で三井家に行くのだろうか?内容も分からないし拒否権も無いので僕には断ることもせず、朝食後メイドさんに余所行きの服装を着せられ、あっという間に三井家へ。


---


いやぁ~このお家も大きいね、流石は家と同じく、日本九大財閥の一角の家だ。広さが半端ではない。なんて思うくらい、この時の僕は自分が関わることで三井家に訪問したなんで夢にも思っておらず庭園を観察する余裕があった。


しかし通された応接間で、和服を着た赤い顔をした彩香ちゃんとご両親が待っていたあたりから、なんだか嫌な予感がした。そして……


---


「すまない、待たせたかな三井殿。」


「いや婿殿と会えると思う時間なんて気にしなかったよ一之宮殿。そして、こんにちは次郎君。次郎君とちゃんと話をするのは初めてかな?まぁとりあえず本題から入るとしよう、それでは婚約を前に次郎君、本当に娘の彩香を幸せにしてくれるのか確認してもいいかな?」


 はいぃ、こんにゃく?婚約?どゆこと?いつの間にそんなことになっているの?


「……ちょっと待って、頂き、たい、婚約とは一体?えっ私と彩香さんがですか?」


「ふむ、次郎君は何も聞いて来なかったようだね……一之宮殿?」


「両者が好き合っているのならば何ら問題ない。当家も刑部の二男坊から次郎の気持は確認はしている。」


 いやいやそんなどういう事?ちゃんと説明してよお父様、というか何故ここで涼君の名前が出る?


「こちらも田中の嬢ちゃんから聞いているよ、先週返事をしていることは。」


 先週って何があった?何がフラグだった?僕はいつもどうりの日常だったはずだ、野球して幼稚園に通って、遊んで……全く分からない、何がいけなかったのだろうか、いやもうはっきりと聞くしかない。


「……失礼ですが先週何が有ったのでしょうか、私には身に覚えがなくて……本当に恐縮なのですが教えていただいても宜しいでしょうか?」


「……いや次郎君が疑問に思うのは当然の事だよ、しかも今の今まで何も知らされていなかったようだしね、いや何から話そうかな……」


 説明はしていただけるようだな、しかしお父様もこのことは知っていたのか……少しは教えてくれたって良いだろうにさ……


「実は先月から、うちの彩香が君と結婚したいと駄々をこねていてね、もちろん初めは僕も年齢もそうだし子供の我儘だ、まだ早いと反対していたのだけど、妻達が好き合っているのなら婚約でも良いじゃないと言い始めてしまってね、僕も今まで我儘を言わない彩香の初めてのお願いを叶えてあげたい気持ちもあってね。」


 いや幼稚園児だよ僕、早すぎるなんてレベルじゃないですよ、ちゃんと娘を説得しようよ三井さん……


「で、まず君の気持を無視して婚約を進める訳にはいけないので、一之宮家と協議し、君の彩香への気持を確認して、君も同じく娘の彩香を思っていてくれたのならば、少し早い気はするが婚約を結ぶことを決めたのだよ。で先週の幼稚園の休み時間に君から返事があったことを聞いたのだ、一緒にいたうちの雅美ちゃんと其方の刑部君からも確認はとれているよ。」


「え…………ええっ!?」


 あれか、あれなのか?いやいやあれは、おママゴトの延長でぇ……えっというか涼君たちもあれを聞いていたのか、いやそんな事よりも誤解を解かないと、


「まぁ驚くのも無理はない、しかし娘の気持だけでなく君の本音を確認する必要があったのだ。」


「いえっ、あのう……いやあれはですね。」


「次郎、三井殿の前で見苦しい真似はしないように。」


 いやお父様、僕は早く誤解を、解かないと、


「一之宮殿、次郎君も吃驚しているだけでしょう、僕だってプロポーズの言葉を部下に全て聞かれていたと成ると焦るのはわかるよ。しかし良かったな彩香あんな立派のセリフが聞けて。」


「はい、次郎さまのあの時のお言葉、彩はとても嬉しかったです。」


「私もテープを聞きましたが、娘は幸せですね、私もまたあんなセリフを聞いてみたいものだわ。」


「そうねぇうちの次郎さんがあんなセリフが言えたのね、子の成長は早いのねぇ。」


 なんて奥方も会話に参加し、ワイワイ(お父様以外が)と僕の先週のセリフで盛り上がっている。というか録音されてるのあの恥ずかしいセリフが恥ずかしっ。


 えっなんか、誤解ですなんて言える雰囲気じゃないよねもう……。


 もうゴールしてもいいよね、しかし先月からやけにママゴトに誘っていた理由がこれか、いや愛すよりも愛されろだ……そう思うと流されて良い気がしてきた、名家で美人で用意周到で……あれ涙が出てる……


「おお次郎君も泣くほど婚約が嬉しいかね、いやぁうちの彩香は自慢の娘でねぇ…………」


---


 その後、三井殿の娘自慢を永遠と聞かされ冒頭に戻る。


 その後に昼のランチを三井家と一緒に食べたが、僕は味を全く僕は覚えていない…………。


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