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あれ?選択肢を間違えましたか?  作者: 東のローラン
一章 前世を思い出した幼稚園児編
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3話 割り切りました!

「次郎は、5歳児になりました~」


 自分の誕生日というのが嬉しくて、珍しくまだ出社していなかったお父様の一之宮政雪いちのみや まさゆきに誕生日の報告をしてみると、いつものごとく表情の乏しい父は、


「……今日の次郎は明るいな。」


 なんて一言を頂く……失礼なあなたの二男は、次郎なんて安直な名前を頂いて少し捻くれもせず、いつも明るいいい子だよ!


 だから誕生日プレゼントをくれ下さい。とは言えないけれど晩にはケーキが食べたい気分だ。


「普段の次郎は暗いのですか?」


 まぁ最近色々考えすぎて暗かったかなぁと思い直し、思い切って聞いててみると。


「……いやそんなことはないよ。」


 だから無表情で言わないで、正直怖いよ顔が。お父様って子供相手でも表情変わらないんですよね。


 だから昔は本気で養子かなにかかと邪推した時期もあったが、お兄様やお母様との会話の時も表情が乏しいので、普段からあれなのだろうと納得した。


 ちなむにお父様の一之宮政雪は名門一之宮家の当主にして、戦後急成長した一之宮自動車の社長だ。跡継ぎは兄様の一之宮正臣いちのみや まさおみに決まっているのだが、俺も情けで就職させて欲しいものです。


 しかし自分でも、自分自身の性格がぶれているとは思う、前世の事で思い悩んだ日も多いし、先週は確かに暗い日が多かったような気がします。


 でも最近明るくなったのは理由があるのです。幼稚園児の成長は早くてでしてね……いえ違いますね。なんとか前世と折り合いを付けたのが大きかったのだと思います。


 なんて説明したらいいのか正直説明もできないのだけど、もうどっちがどっちなんて自分でも誰でも説明も解決も出来ない、だから僕はもう二重人格者である一之宮次郎として、とりあえ~ず生きていくことをとりあえず決めたのだ。


 なにも解決はしていないけれど、解決方法がないのに悩むのは、自分にとっても、心配をかけている家族にも悪いと悪いと思ったんだ。


 というかこんな思考をしている時点で可笑しいんだよ、普通の幼稚園児が前世とか人格の考察なんて出来るわけがないのであるから、もうすでに前世を思い出した時点で、実は人格の融合は終わっていて、融合した人間が今の次郎であると思い込むしかなかったのだ……。


 しかし前世がオタクだったり、カ○プファンだったり色々思い出しています。毎日試合結果を気にする自分は……いやもうよそう次郎は赤鯉ファンなのです、そう生きよう。目指せ優勝。明るい未来が待ってるぜ。


---


 精神も落ち着き、今日も明るく長の水幼稚園に通う日々が始まる。

明るくなったからか、最近絡んでこなかった友達の涼に久しぶりに駆けっこ勝負を挑まれる。ふっ今日は僕の本気を見せてやる。


「なぁ次郎、なんでそんなへんなポーズしてんだ?」


 むっ、変なとは僕が本気を出してのクラウチングスタートをバカにしているのか涼君よ。


「ふっスタートが勝敗を決定するのだよ、それが分からないから君はいつも負けるさ!」


「なにおう、変なポーズを変だと言って何が悪いんだ」


と紹介が遅れたけれど、怒っているのは幼馴染みの刑部涼君、運動が好きで1番が大好きの負けず嫌い、なので今日も徒競走を挑んどくる。僕も筋トレになるかなと思って勝負を受けている。


「もぅ早く始めようよぉ、休み時間が終わっちゃうよ」


彩ちゃんはそんなにママゴトがしたいですか、僕は苦手なんですが……


「そうそう、どうせ涼の16連敗は目に見えているんだからさ」


田中雅美ちゃんも幼馴染みの一人だ、彩ちゃんと比べると運動が好きな女の子だ。


しかし雅美ちゃん決めつけは良くない、僕だって転ぶことはあるんだから。


しっかしこの体のポテンシャルは高い気がするね。前世の幼稚園時代とか記憶にないし、他のデータもないので単純に比較はできないし、脳はこの時期から成長しやすいと聞いたこともあるので正確には不明だけど。


 身体能力も知能も上昇しやすい気がします、前世では全てが中の中レベルだったのですが。


 ただ20過ぎれば只の人と言われぬよう、文武両立を目指して頑張りたいと思います。


 もちろん先ほどの駆けっこには勝った!園児に負けてられるか、僕には甲子園が待っているんだ。目指せ未来の盗塁王!


しかしそろそろ女の子達とのママゴトから卒業したいです、切実に……


「……だから彩ちゃんスープを作るのはまた今度にしようね、前僕も彩ちゃんも制服泥だらけにして怒られたでしょ……えっ嫌、今度はうまく行くって?それフラグですよね、っておい彩香様スタープっ!」


今日も長の水幼稚園は平和です。

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