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闘技会3

「お久しぶりです、レゲル様」

呼ばれて見てみると、サイラスがあの時の少年、カイと一緒に立っていた。

「ああ、こんにちは。カイも元気そうだね」

「こんにちは」

カイはぎこちなく頭を下げた。わざわざ礼なんてしなくてもいいんだけど、まあいいか。

「騎士団はどう?こき使われたりはしてない?」

「はい、よくしてもらっています」

「こいつすごいんですよ、手伝いの合間に暇なやつが剣術を教えたらめきめき上達してるんです。さすがレゲル様、お目が高い」

「私が見付けたわけじゃないんですけど……」

確かにカイを見付けたのは私だけど、才能を引き出したのは他の騎士だ。誉めるなら彼にしてくれ。

「まあどちらでも構いませんよ。レゲル様がいなかったらここにカイがいなかったのは事実ですし」

そう言ってサイラスは愉快そうに笑った。

「闘技会の方を見ていなくていいんですか?」

サイラスはここに勧誘したい新人を探しに来ているのではないのだろうか。

「勧誘したい新人はほとんど王都の方かでっかい区の騎士団に取られますからね。真剣に見てもあんまり意味がないというか……」

「確かにそうですね」

優秀な新人ほど重要なところ、つまり王宮や大きな区に取られていく。ハセ区のような小さい田舎の区に回ってくるのは正直なところあまり強くない騎士ばかりだ。

しかし小さい区だからといって実力のない者が回ってくると困る。小さい区ほど魔物が出たり、目立たないのをいいことに悪い人間の溜まり場になりやすいから。

「すみませんね、このような話で引き留めてしまったようで……」

「そんなことはありません。一種の意見ですから、参考にさせていただきます」

その後二、三言葉を交わして私はサイラスと別れた。

少し歩いて、来賓席の方へ戻る途中、知らない男に呼び止められた。

「あの、レゲル様ですよね」

男は人が良さそうに笑みを浮かべながら訊ねてくる。

「ええ、そうですが、あなたは?」

「失礼、名乗るのを忘れていました。イグルド・ホーセと申します。カーレル様はいらっしゃいますか?」

「はい、いらっしゃいますが……何か?」

「申し訳ないのですが、呼んできてくださいませんか?たぶん名前を言えば来ますから」

私は知らない人だけど、カーレル様の知り合いなのかな。まあどうせカーレル様のとこに戻るところだからいいけど。

「構いませんよ。少しお待ちください」

少し急ごうかなと前を向く。ん?何かがおかしい……

私は思わず精霊の方を見た。

なぜか精霊達が動きづらそうにしていた。まるで何かに捕まっているように。

私はイグルドとかいう男の方へ向き直る、絶対にこいつが何かしたんだ。

「申し訳ありません」

そう言って彼は私の顔の前で小さな布切れを振った。

とたんに意識が朦朧として視界が真っ暗になる。そして全身が妙に重くなり、力を上手く入れられず、イグルドの方へ倒れ込んだ。

「すみません、少々手荒いですが……これ以上は手荒なことはしませんから」

そう言った男の声を最後に、私の意識は途切れた。



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